歌会始の「はるかのひまわり」、都内の中学生が育てる(産経新聞)

 「贈られしひまはりの種は生え揃ひ葉を広げゆく初夏の光に」-。上皇さまが今年1月の歌会始で詠まれた阪神大震災の復興のシンボルとされるヒマワリの種を、日本工業大駒場中(目黒区)の生徒らが被災地の神戸の団体から譲り受け、育成に取り組んでいる。今後、花から収穫した種を近隣の小学校や住民にも配る予定で、同校関係者は「命を大切にする心を、ヒマワリとともに広めたい」としている。

 このヒマワリは「はるかのひまわり」と呼ばれ、平成7年1月17日の阪神大震災で、神戸市の自宅で犠牲になった加藤はるかさん=当時(11)=が生前かわいがっていた鳥の餌の種が震災後に自宅跡地で芽吹き、花を咲かせたとされる。上皇さまは大震災から10年の追悼式典で遺族から贈られた種を御所の庭にまいて大切に育てているといい、その様子を詠んだ歌を平成最後の歌会始で披露された。

 このことを新聞記事で知った同校の渡辺勝之教諭(65)が「子供たちに命の重みを伝える教材にしたい」と、はるかさんの姉らが活動する神戸のNPO法人「阪神淡路大震災『1・17希望の灯り』(HANDS)」に連絡を取り、ヒマワリの種を譲り受ける計画が実現した。

 20日は、同NPO法人を設立した俳優の堀内正美さん(69)が、1年生ら約100人に対し、阪神大震災当時の状況や、ヒマワリの種が東日本大震災の被災地にも贈られたことなどを説明。5月に川崎市で児童らが殺傷された事件などにも触れ、「いざというときに命を守るためにも、地域の人たちとのつながりを大切に」と語りかけた。その後、校内の畑に移動し、生徒らがヒマワリの種をまいたり、スコップで苗を植えたりした。

 参加した増田萌花(もか)さん(13)は「悲しい事件や災害もあるけれど、心の癒やしになるようなヒマワリを増やしていきたい」。加藤優奈さん(12)は「はるかさんと一緒にいるような気持ちで育てていきたい」と話した。

 ヒマワリが順調に育てば、8月中旬~下旬には開花する見通しで、渡辺教諭は「花が咲いたら近隣の方々にも畑を公開するなど、地域との交流にも役立てていきたい」としている。(緒方優子)



Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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