死亡のタクシー運転手、直前にもうろうとした様子 5人死傷事故

 東京都千代田区の都道(内堀通り)で11日、個人タクシーにはねられるなどした5人が死傷した事故で、意識不明の重体だった山本斉(ひとし)運転手(64)=東京都杉並区=が12日死亡した。

 捜査関係者によると、車内のドライブレコーダーには、事故直前に意識がもうろうとした様子の山本運転手の姿が記録されており、運転手の母親(88)は取材に、死亡診断書の死因が「くも膜下出血」だったと説明した。警視庁は自動車運転死傷処罰法違反の疑いがあるとみて、運転手の死因や経緯を慎重に調べる。

 事故は11日午後4時20分ごろに起きた。麴町署によると現場は片側2車線の直線道路で、タクシーは自転車2台に接触した後、区役所前の歩道に突っ込んだ。小林久美子さん(73)=東京都品川区=が死亡し、別の歩行者1人と自転車の2人、タクシーの乗客が重軽傷を負った。

 署の説明では、信号が青に変わってタクシーは徐行を始めたが、後続車がクラクションを鳴らすと速度を上げて自転車に接触し、センターライン側に向きを変えた。その後、ハンドルを切って左側の歩道に突っ込んだという。現場にブレーキの痕はなく、署は山本運転手の体調に異変があったとみている。

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 亡くなった小林さんは、弟(69)と2人で暮らしていた。12日に朝日新聞の取材に応じた弟は「まさか自分の(家族の)こととして起きるとは思っていなかった」と語り、無念さをにじませた。

 小林さんは、性差にとらわれない社会などをめざす民間団体の役員だった。弟によると、様々な社会問題への意識が高く、勉強熱心で本をよく読んでいた。11日も団体の活動で区役所を訪れていたという。

 朝から外出していた弟が事故を知ったのは午後5時半ごろ。警察官からの連絡が携帯電話に入り、小林さんが亡くなったと告げられた。弟は「母親が早くに亡くなり、家族の母親代わりだった。優しい姉でした」としのんだ。

 事故当時、小林さんは団体の活動にゲストとして招いた講談師の神田香織さんのためにタクシーを拾おうとして、歩道にいた。自身も負傷した神田さんは朝日新聞の取材に「着物姿の私を気遣ってタクシーを拾おうとした。依頼の文書も丁寧だった。亡くなったと知り、悲しく、怖かった」と話した。

 山本運転手の母親は12日の取材に「持病はなく、大きな事故を起こしたこともなかった。亡くなられた方々が気の毒で、申し訳ないです」と話した。(大山稜、土舘聡一)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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