死産の赤ちゃんを段ボール箱に…死体遺棄罪は成立? 刑法学者の疑問

 自宅で死産した双子の遺体を捨てたとして、死体遺棄罪に問われた熊本県ベトナム人技能実習生、レー・ティ・トゥイ・リン被告(23)が、最高裁で無罪を主張して争っている。赤ちゃんを死産した女性の行動が同罪に問われる例は後を絶たない。この罪は何のためにあるのか。今回の事件でリン被告を罰するのは妥当なのか。関西大の山中友理教授(刑法・刑事政策)に聞いた。

 ――そもそも、死体遺棄罪とは何のためにある罪なのでしょうか。

 「死者に対する一般人の敬虔(けいけん)感情」を保護するための罪です。死体遺棄罪を定めた刑法190条には、「死体損壊」や「遺骨を盗む」といった行為も含まれます。

 殺人罪や窃盗罪など、人の命や体の安全、自由、財産などの「個人的法益」を守る規定と違い、「社会的法益」を守るものと位置づけられます。例えば通貨偽造罪、放火罪なども社会的法益を保護するものです。

 死者は大切に扱われて、弔われるべきである。こうした社会の感情や慣習を守るための罪だといえます。

 一般人が「死者を冷遇している」「死者を敬う感情、宗教感情を害する」と感じる行為を罰します。ただ、敬虔感情や宗教感情と言っても、仏教やキリスト教など特定の宗教の考え方に基づくものではありません。

 「一般人にとって敬虔感情を害されるか」が基準なのですが、では何をもって「害される、害される恐れがある」と判断するのか。抽象的な部分があることは否めません。

 ――何をすれば有罪になるのでしょうか。

遺体を山に捨てたり庭に埋めたりしなくても、死体遺棄罪は成立するのでしょうか。そして、リン被告のケースは当てはまるのでしょうか。詳しく聞いていきます。

 死体遺棄罪が成立するには「…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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