気を失っているトラック運転手 ハーレーで帰宅中の女性がとった行動

 排気量1200ccの大型バイク「ハーレーダビッドソン」に乗って、勤務先から帰宅する途中だった。

 パート従業員の白石麻衣さん(39)=松山市久万ノ台=は7月4日午後3時半ごろ、自宅近くの片側1車線の信号のない交差点に差しかかった。対向車線の2トントラックが交差点の手前で停車していた。動く様子がないので前を横切って右折した。

 トラックの運転席に目をやると、男性がシートに背を預け、真上を向いて口を開けていた。

 「寝ているのかな」と思ったが、オートバイを道路脇に止め、トラックに駆け寄った。助手席の窓をノックしたが、反応はない。ドアはロックされていなかった。男性の体をたたいたり声をかけたりしたが反応はなく、意識がなかった。

 白石さんはスマートフォンで119番通報。通話しながらトラックのサイドブレーキを引き、後ろに停車していた軽自動車の会社員伊藤利英さん(54)=同市余戸中5丁目=に「前の方は意識を失っています」と声をかけた。

 伊藤さんはトラックの陰になり、前方の信号機やトラックの前の車列が見えていなかった。停車している時間があまりに長いため、状況を確かめようとしていたところだった。

 119番との通話を続けていた白石さんは、男性が呼吸しているか確認を求められた。「息をしていない」と伝えると、すぐに車から降ろして人工呼吸をするよう言われた。

 駆けつけた交番の警察官、現場に車でたまたま通りかかったトラックの男性の知人、伊藤さんの3人で、男性を歩道まで運び、陰に横たわらせた。警察官が心臓マッサージを始め、間もなく救急車が到着。病院に搬送された。

 松山西署によると、男性はその後、意識を取り戻した。自営業の60代で病気が原因で意識を失ったという。救出活動だけでなく、トラックのエンジンもすぐに止め、交通事故など二次被害を防いだ白石さんらのとっさの対応に、署の担当者は「警察官でもできない」とうなった。

 7月26日、署は白石さんと伊藤さんに感謝状を贈った。白石さんは「トラックが急に出てくると当たっちゃうので、のぞき込みながら曲がった。すぐに近くの方や警察の方が来てくださって、あっという間の時間でした」と振り返った。伊藤さんは「翌日に警察の方から『男性の意識が戻った』と連絡をもらった時は本当にほっとした。ああいう状況になれば皆さん、同じようにされるんじゃないでしょうか」と謙遜した。(中川壮)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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