気象庁「同じような噴火ありえる」 大きな噴石が2.5キロ先に

吉沢英将

 鹿児島県桜島噴火警戒レベルを3(入山規制)から5(避難)に引き上げたことを受け、気象庁は24日深夜、緊急の記者会見を開いた。5への引き上げは、大きな噴石が火口から約2・5キロに達したためだという。火山監視課の中辻剛課長は、島内で火口からおおむね3キロ以内の居住地域内では「大きな噴石に厳重な警戒を」と呼びかけた。

 2007年に運用が始まった噴火警戒レベルは、火山活動の状況に応じて警戒が必要な範囲やとるべき行動を5段階で示す。危険度が最も高いレベル5が発表されたのは、2015年5月に全島民が島外に避難した鹿児島県の口永良部島での噴火以来、2度目。桜島では初めてだ。

 今回の噴火は南岳山頂火口で起きた。中辻課長の説明では、桜島では、住民の避難が必要なレベル5に引き上げる判定基準の一つに「大きな噴石が火口からおおむね2・4キロを超えた場合」が挙げられる。島南部にはこの範囲に集落がある。気象庁が監視カメラの画像を解析したところ、大きな噴石が火口から東側の方向に約2・5キロ飛んだとみられ、5に引き上げた。

 桜島では18日午前9時ごろから、山体の膨張を示すわずかな地殻変動が観測され、同庁では19日から「解説情報」を連日発表して周知していた。中辻課長によると、今回観測された地殻変動だけをみると、レベル5に引き上げる基準には達していなかった。

 ただ、地殻変動は20日以降停滞しているが、今回の噴火でも解消されていないといい、「また同じような噴火はあるかもしれない。注意深く監視していきたい」と述べた。1914年の「大正噴火」のような大きな噴火が発生する可能性は想定していないという。

 同庁は24日午後8時22分に、噴火をいち早く伝える「噴火速報」を発表したが、噴火から17分経っていた。

 桜島のようにすでに噴火警報が発表されて入山が規制されている火山では、レベルの引き上げや警戒が必要な範囲の拡大を検討する規模の噴火が発生した場合に噴火速報を発表する。中辻課長は、速報まで17分かかったことについて、今回の噴火が速報の発表基準にあたるかどうか、分析や精査に時間を要したと説明した。(吉沢英将)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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