水道修理490円→現金で40万円迫る業者 兵庫で多発

 【兵庫】神戸市消費生活センターによると、市内の20代女性宅は昨年7月、トイレの水があふれ、風呂の水も流れにくくなった。ネット検索で「最安値490円」とうたう業者に連絡すると、1時間後に女性宅に駆け付け、何も説明しないまま作業を始めたという。

 「代金は44万円だが、40万円に値引きする。現金で支払うように」。約5時間に及ぶ工事が終わった後、業者から迫られた。女性は手持ちが10万円しかなく、友人に30万円を借りて支払ったという。

 昨年10月には同じく市内の女性が、トイレで砂や砂利が逆流していることに気づき、修理業者に電話をかけた。やってきた修理業者は高圧洗浄機を使って配管の詰まりを解消し、75万円を請求してきた。現金で支払うと「今のは緊急処置。配管が一部壊れています」。翌日もやってきた業者は130万円を請求。契約書にサインをする前に消費者センターに相談した。

 国民生活センターによると、県内で2019年度に寄せられた水回り工事に関する相談件数は411件で、都道府県別で最多だった。2番目の東京(232件)、3番目の大阪(209件)と比べても突出していた。20年度も1月末時点で378件を数え、東京(534件)に次ぐ件数だ。

 悪質水道工事被害対策神戸弁護団の北村拓也弁護士によると、依頼者の自宅に訪れた業者が見積もりなどを伝えることなく、すぐさま工事に取りかかるケースが目立つ。工事が終わってから見積もりを見せ、法外な価格が書かれた請求書にサインを求める。「工事が終わってしまっていると、支払いを拒めないのが消費者心理。不安や緊急性に乗じた悪質な手口だ」と語る。

 ネット広告などに記載された番号に電話し、被害に至るケースがほとんど。北村弁護士は「被害を避けるためには、自治体が指定する工事業者に修理を依頼するのが望ましい」と話す。

 昨年11月、県弁護士会姫路支部有志の弁護士7人が対策弁護団を結成。今年2月には神戸地区や阪神地区などの被害者を対象にした弁護団も立ち上げた。「被害にはクーリングオフ制度が適用される場合もある。お金が戻ってこないと泣き寝入りするのではなく、弁護団や消費者センターに相談をして欲しい」と呼びかける。被害状況を整理し、集団訴訟を起こすことも検討している。

 相談は各地域の弁護団事務局に。神戸地区弁護団事務局は「すずらん法律事務所」(078・382・0724)、阪神地区事務局は「尼崎あおぞら法律事務所」(06・6493・6612)、姫路の事務局は「ひめじ市民法律事務所」(079・282・0430)。(森下友貴)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment