水道水ごくごく、街、店に給水器じわり 環境に優しく

【動画】水道水をもっと飲もう マイボトル利用でCO2削減呼びかけ=松尾一郎撮影

 水道水をもっと飲もうと、無料の給水スポットを設ける取り組みが始まっている。適切に処理されないとプラスチックごみになり得るペットボトルの利用や、それらの輸送などに伴う二酸化炭素排出を減らすのが狙いだ。

 6月初めに代々木公園(東京都渋谷区)で開かれた環境省主催の「エコライフ・フェア2019」の一角に、「Refill(リフィル)」(詰め替え)という水滴型のロゴが入った給水器が持ち込まれ、水道とホースでつなげられた。「冷たいお水、無料で飲めますよ」。設置したNPO「水Do!(スイドゥ)ネットワーク」(東京都)の瀬口亮子事務局長らが来場者に呼びかけると、マイボトルへの給水が相次いだ。

 「Refill」の水滴ロゴは英国発祥の運動のもの。欧米では水道水を飲もうという運動が盛んだ。例えば、スイス・ジュネーブの水道公社は「ジュネーブ水」を打ち出している。水源地域は世界的ブランドのボトル水と同じで、品質は折り紙付き。繁華街付近や公園に水飲み場が清潔な状態で維持管理されている。

 瀬口さんらは、日本の繁華街や観光地に常設の水飲み場が少ないため、特にごみの排出が問題となる大イベントなどで、清潔な給水器を仮設して無料で水をくめる環境が必要だと訴える。「日本の水道水は安全でおいしいのだから、ペットボトルの水を買うのを減らし、環境負荷を減らすべきです」。京都の祇園祭や大阪の天神祭でも、水道に直結するタイプの給水器を持ち込んでアピールする。

 取り組みは官民ともに広がりつつある。東京・有楽町の東京国際フォーラムの広場には、冷やされた水道水の給水スポットが常設されている。奈良県生駒市は、協力する飲食店でマイボトルに水道水を無料給水してもらう取り組みを続ける。高級ホテル「ヒルトン名古屋」(名古屋市中区)もウォーターステーションを設け、水道水の無料給水を今年始めた。

マイボトル、手軽に機能的に

 水源や水処理技術で地域差はあるが、おおむね日本の水道水は世界的にも高品質とされる。

 大都市でも、東京の大部分に水を供給する都水道局の担当者は「安全でおいしいです」と断言する。基本的に原水は川からの取水で、季節により質に変動があるが、2013年までに利根川水系からの取水分は、有機物を分解するオゾン処理や有機物を取り除く生物活性炭吸着処理を組み合わせた高度浄水処理を100%実施した。同局は「東京水」というブランドでアピールしている。大阪市なども高度浄水処理を導入している。

 今後の普及には、給水スポットの整備とともにマイボトルの一層の浸透も鍵となりそうだ。

 銀座ロフト(東京都中央区)には、約300種類のマイボトル(保冷保温、保冷専用、常温の各種)がそろう。生活雑貨マネジャーの長谷川恭子さんによると、売れ筋は容量120ミリリットルの超小型ステンレスボトル「ポケトル」。ロフト全店で昨年11月から今年5月下旬までに3万5千本売れた。コップ1杯の量で、口幅が広く飲みやすく、小さなバッグやコートのポケットにも入る。ほかにも、浄水機能がついた常温タイプのマイボトルも人気だという。「一度、マイボトルを持ちなれると習慣化しますよ」と長谷川さんは勧める。(松尾一郎)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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