江の島の謎クラゲ、新種だった 学名は「8本のこん棒を持つ踊り子」

足立朋子

 新江ノ島水族館神奈川県藤沢市)は12日、江の島近海などで採集した小型のクラゲが新種であることが分かり、スイスの学術雑誌「Animals」に掲載されたと発表した。すでに知られているウラシマクラゲに似ており、やや小さいことから、和名を「オトヒメクラゲ」(乙姫水母)と名付けた。同日からクラゲコーナーで標本の展示を始めた。

 同館と黒潮生物研究所(高知県)、アクアワールド茨城県大洗水族館の共同研究。オトヒメクラゲは、傘の直径が1センチほどで、触手と放射管(体の中心にある胃から放射状に伸びる栄養を送る管)が8本ずつある特徴を持つ。ウラシマクラゲは共に4本。以前から一部の研究者の間で存在が知られていたが、「なぞのクラゲ」とされ、ウラシマクラゲの奇形などと考えられていたという。

 しかし2015年、当時学生で後に新江ノ島水族館クラゲ担当になる山本岳さんが江の島で採集したことをきっかけに、08年に茨城県大洗漁港でも同種のクラゲが採集されていたことが分かり、今回、クラゲの分類学者である黒潮生物研究所の戸篠(としの)祥主任研究員に協力を依頼。高知県土佐湾でも見つかり、3県16個体の標本のDNA分析などを行い、ウラシマクラゲ科の新種であることを突き止めたという。

 学名は、「オクトロパロナ・サルタットリクス」で、ギリシャ語で「8本のこん棒を持つ踊り子」の意味という。(足立朋子)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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