池松壮亮さんが語った最高裁での逆転勝利 乗り移った「宮本の熱」

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構成・石飛徳樹

 出演俳優の有罪を理由に映画「宮本から君へ」の助成金交付を取り消したことが適法かどうかが争われた訴訟で、最高裁文化庁所管団体の裁量権の逸脱を認め、製作会社スターサンズの逆転勝訴を言い渡した。主演俳優の池松壮亮さんがこの「歴史的判決」をどう見たかを詳しく語った。

 正直に告白すると、この裁判に勝てるとはちっとも思っていませんでした。一審の勝訴は驚いたけど、二審で敗訴し、「やっぱり。どうせ勝てっこないんだ」という感想を持ちました。法が自分たちの表現を守ってくれるものだという、ごく当たり前のことを忘れてしまっていた。自分の感覚がおかしくなっていたことを、最高裁判決が気づかせてくれました。

 ピエール瀧さんの件で日本芸術文化振興会が助成金1千万円を不交付にした時、スターサンズの河村光庸さんは訴訟を起こしました。映画製作においては1千万円は必ずしも高い金額ではありません。だから僕には河村さんがなぜものすごく手間のかかる裁判をしてまで、国と闘おうとしているのかがよく分からなかった。でも、この判決を読んで、腑(ふ)に落ちました。河村さんはお金が欲しかったのではない。自分たちには表現の自由があるんだということを証明しようとしたんですね。

自由なはずの日本で、多くの表現が資本の大きな渦に巻き込まれている――。「宮本から君へ」に主演した池松壮亮さんは、撮影を通じて感じ続けていた「熱」を込めて、語ってくれました。

 自由が制限されている国が世…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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