河井事件、「被買収」で初めての判決 公民権停止期間の短縮を認めず

福冨旅史、菅野みゆき

 2019年の参院選をめぐる買収事件で、河井克行元法相(59)=実刑確定=から現金30万円を受け取ったとして公職選挙法違反(被買収)の罪に問われた元広島県議、平本英司被告(49)の判決が11日、広島地裁福山支部であった。松田克之裁判長は求刑通り罰金15万円、追徴金30万円を言い渡した。

 平本被告は公民権停止期間を5年とする略式命令を不服として短縮を求めていたが、判決は「選挙の公正を著しく害した」などとして認めなかった。現金を受け取った側で正式裁判が予定される地方議員ら12人のうち、判決が言い渡されたのは初めて。

 判決によると平本被告は19年4月、自身の後援会事務所で、河井元法相から妻の案里氏(49)=有罪確定=の当選に向けた選挙運動の報酬と知りながら、封筒入りの現金を受け取った。

 被告側は買収を認めた上で、次々回の27年の県議選にも立候補できないことは「公民権停止の趣旨や市民感覚にも反する」として停止期間の短縮を求めた。判決は「公職につく者として、いかなる立場の者からでも毅然(きぜん)とした態度で(現金を)拒否することが期待されていた」と退けた。

 平本被告は判決後、報道陣の取材に「(控訴は)検討します」と述べた。

 この事件で、検察は当初、現金を受け取った議員ら100人全員を不起訴処分とした。だが、うち35人を「起訴相当」とする検察審査会の議決を踏まえ、25人が略式起訴され、平本被告ら3人が正式裁判を求めた。また、現職議員9人は正式起訴され、買収の成立を争うなど無罪を訴える見通し。公判前に証拠や争点を整理する手続きが続いている。(福冨旅史、菅野みゆき)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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