河井元法相に懲役4年求刑 「犯罪史上突出して悪質」 

 2019年7月の参院選広島選挙区をめぐり、100人に計約2900万円を配ったとして公職選挙法違反(加重買収など)の罪に問われた元法相で元衆院議員の河井克行被告(58)の論告求刑公判が30日、東京地裁であった。検察側は「我が国の犯罪史上、突出して悪質な公選法違反事件だ」と指摘し、懲役4年、追徴金150万円の実刑判決を求めた。弁護側の最終弁論は5月18日に行われる。

検察、3時間かけて論告書面を読み上げ

 午前10時に開廷した公判で検察側は、巨額の選挙買収をめぐり、論告内容を記した50枚超の書面を約2時間にわたって読み上げた。

 検察側は論告で、陣営スタッフらの証言から、克行被告が選挙運動を取り仕切る「総括主宰者」だったと指摘。動機については、自民党本部は妻の案里氏(47)を公認候補としたが、反発した党広島県連が支援を見送るなど厳しい選挙情勢のなか、「投票のとりまとめや選挙運動の報酬のために現金を配った」と説明した。

 さらに、夫妻の自宅などから押収された克行被告作成の「買収リスト」は、案里氏が配った現金も含めて買収実態を正確に表しており、夫妻の共謀を示す証拠だとした。

 一方、弁護側は論告に先立ち、克行被告が「贖罪(しょくざい)」として児童養護施設を支援する財団に700万円を寄付したことを明かした。

 克行被告は昨年8月の初公判で、渡した現金は「陣中見舞いや当選祝い」などと無罪を主張。だが、今年3月の被告人質問で主張を一転し、「妻の(案里氏の)当選を得たいという思いがあったのは否定しない」と買収行為の大半を認めた。衆院議員も辞職した。

 現金を配った理由は、広島県で影響力が強い自民党の伝統派閥「宏池(こうち)会」に所属しなかったことをふまえ、「長年ひとりぼっちで地元政界に仲間が欲しかった」と述べた。

 ただ、案里氏との共謀による買収は一貫して否定。検察側が共謀の証拠とする「買収リスト」は、「頭の整理をしたもの」で買収の実態は示していないとした。

 法廷での克行被告は、感情をあらわにする場面も目立った。裁判官が「広島に戻ることは考えているか」と尋ねると、「私にとってただ一つのふるさと。政治家、河井克行を育てていただいた広島の皆さまに、必ずおわびを言って歩かなければいけない」と言葉を詰まらせながら話した。

 案里氏は今年2月、克行被告と共謀して県議4人に計160万円を配ったとして懲役1年4カ月執行猶予5年の有罪判決が確定し、参院議員を失職している。(新屋絵理、戸田和敬)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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