消えゆく流氷 30年で厚み3割減、面積も縮小傾向 漁業への影響も

 地球温暖化の影響で、北の海の風物詩である「流氷」に異変が起きている。海を覆う面積の縮小にとどまらず、氷の厚みもこの30年間で3割減っていたことが、北海道大学の研究で明らかになった。このままでは将来、北海道に流氷が接岸しない年もあると予測され、漁業への影響も懸念されている。

 北海道のオホーツク海側では今年も各地に流氷が押し寄せ、根室市では2月10日に接岸の初日を迎えた。海面は見渡す限りびっしりと、大きな白い氷に覆われた。

 見る人を圧倒する壮大な眺めだが、氷そのものの厚みは、以前より減っているという。

 北海道大低温科学研究所の大島慶一郎教授(海洋物理学)らは、北緯48度以南のオホーツク海南部を対象に、気候変動が流氷に与える変化を解析。今月、米国で開かれた国際学会で最新データを発表した。

 それによると、オホーツク海南部の流氷は、10年あたり7・4センチのペースで薄くなっている。1990年には平均で約73センチあった流氷の厚みは、2020年には約51センチへと、30年間で3割も減ったと推計された。

 人工衛星を使ったこれまでの観測で、オホーツク海の海氷の面積が減少傾向にあることは、指摘されていた=グラフ参照。今回の研究では、面積だけでなく、氷の厚みも減少を続けていることが示された。外見上は同じように氷が広がっている海域でも、昔に比べて氷の体積が減っていることになる。大島教授は「私たちがこれまで考えていた以上に、流氷の減少スピードは速いことが分かった」と話す。

 研究チームは流氷の量の変化について、1930年代以降のデータを分析したが、温暖化の影響で流氷が急速に減り始めたのは、1990年代に入ってからという。

 「流氷が大量に形成されるオ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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