緊急事態宣言を受けて、お店で酒類を飲むことが実質的にできなくなって、もうすぐ2カ月。コロナ禍の終息が見通せないなか、観光地・京都のにぎわいを支えてきた飲食店の対応はさまざまだ。ノンアルコール飲料に切り替えた店もあれば、休業した店、そして、普段通りの営業を続ける店もある。
6月中旬の夜。森井崇斗(しゅうと)さん(27)は会社の帰り道、行きつけの居酒屋「和知(わち)」(京都市中京区)で過ごしていた。店の売りは燻製(くんせい)料理とクラフトビールだが、飲んでいたのはノンアルのビールとノンアルのレモンサワー。宣言期間中の酒類提供禁止に店が従っているためだ。
「飲んだ気にはならないけど、営業を続ける店を少しでも応援したくて。顔見知りの客とお酒を飲んで、リフレッシュできるときが待ち遠しい」と話した。
酒類を出せないと商売にならない。だから和知は宣言を受け、5月20日まで休業していた。店主の島津俊吾さん(52)は「映画がかかってない映画館にポップコーンだけ食べに来る人はいない。命をかけて売ってきたお酒を売るなと言われ、のど元にナイフを突きつけられた気持ちだった」と言う。
だが「閉め続ければ客が戻らなくなる」との思いにも駆られ、21日に営業を再開。取引先の酒造会社が開発したノンアル飲料でしのぐことにした。森井さんのように来てくれる常連もいるが、売り上げは普段の2%ほどしかないという。
京都を代表する繁華街・先斗町。芸舞妓(げいまいこ)も訪れる創業約50年の洋食居酒屋「ふらいぱん」(中京区)も、宣言が出て以降はノンアル飲料を7種類増やして営業している。鴨川納涼床にも参加している。
「利益を目的に開けてるんじゃない。お客さんが帰ってきてくれはる時まで、街を殺してしもたらあかんという思い」。オーナーで、京都鴨川納涼床協同組合の理事でもある村田幹明(まさあき)さん(78)は、そう話す。
実際、酒類に比べると、客はノンアル飲料を何杯も飲まない傾向があり、利益への貢献度は低い。今年は床席も予約がほとんど入らないという。
宣言は期限の20日で解除され、21日からは「まん延防止等重点措置」が京都市に適用される。一定の要件はあるが、酒類は提供できるようになる。「閉めてはるところが開け始めて、まちの明かりも増えるのでは」。村田さんは、そう期待を寄せる。
宣言の解除を待たず、深夜まで酒類の提供をしている店もある。
中京区で串料理などを提供す…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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