深夜0時半、妙手うかんだ渡辺明新名人 襲う疑心暗鬼

 第78期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第6局が14、15日、大阪市福島区の関西将棋会館で指され、挑戦者の渡辺明二冠(36)が豊島将之名人(30)=竜王とあわせ二冠=に99手で勝ち、通算4勝2敗で初の名人獲得を果たした。タイトル奪取まで「あと1勝」として迎えた一戦。相手の隙を巧みに突いて快勝したが、対局中には普段とは違う重圧を感じていた。

勝負を左右した渡辺明新名人の妙手、▲5三歩。どのように思いついたのか。本人の言葉などから将棋担当記者がたどります。

 15日午後1時半。昼食休憩が明けてすぐに、渡辺は盤上に手を伸ばした。豊島の84手目△3一玉を受けて指した手は▲5二歩成(A図)。副立会人の村山慈明(やすあき)七段(36)らが「この手を指せば、早く終わるかも」と指摘していた攻めの手だ。1時間の昼食休憩を挟み、67分の長考だった。

 ▲5二歩成は、この日朝に示された豊島の封じ手△6三金の19手後の手。渡辺は14日夜の時点で想定していた。

 「夕食を終え、ホテルの部屋に…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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