佐賀市中心街から車で約1時間。森林に囲まれた佐賀市富士町に「木育」に取り組む若者がいる。豆田勇介さん、24歳だ。
「木育」とは、木を使ったものづくりを通して、森や木と人の関わりについて考え、伝えていく取り組みのこと。豆田さんは、地元の建築会社で働きながら、木育を行う熊本の団体に所属し、活動している。
豆田さんは林業をするために、現在研修中の身。山仕事をしていた父親に憧れ、その背中を追いかけた。若者の林業離れが問題視される中、なぜ豆田さんは林業に従事しようと思ったのか。また、なぜ木の大切さを次世代に伝えたいと考えるに至ったのか。
その背景には、かけがえのない家族への思い、趣味のチェンソーアートを通して感じた願いがあった。
前編では、豆田さんが木育と出会うきっかけになったチェンソーアートについて、そしてその裏にある間伐の問題について追う。
木とふれあい、木から学び、木と生きる「木育」
「食育」という言葉が定着し、「読育」や「水育」といった「〇〇育」が続々と提唱されている。その中のひとつ、「木育」をご存じだろうか。
木育とは、2004年に北海道で提案された教育概念。「木」とふれあい、「木」から学び、「木」と生きる取り組みだ。
佐賀県佐賀市富士町。佐賀市の中心街から車で約1時間の距離に位置するこの町に、木育に取り組む若者がいる。豆田勇介さん、24歳だ。
豆田さんは、木育を推進するボランティア団体「全国ものづくり塾」に所属している。全国ものづくり塾の拠点は、熊本県・植木町。設立して17年ものあいだ、ものづくりを通して、環境問題に取り組んできた。
なかでも、力を入れているのが、木育だ。「ものづくりはひとづくり」をテーマに、「木」に関連するイベントや講座を開催。独自に教材を開発・製作し、子どもから高齢者まで広い世代に向けて、ものづくりをしながら、ともに考える機会を持ってきた。
全国ものづくり塾総局の総局長・原嶋友子さんは、その狙いをこう説明する。
「木を使ったものづくりを体感してもらうことによって、木や森林、山の大切さを知ってもらいたいと思っています。木や森に関する知識があれば、災害の抑制にもつながっていきますしね」
全国ものづくり塾による木育への取り組みは全国に広がっており、その体験者は年間およそ5万人にも及ぶという。
若干24歳ながら、豆田さんは佐賀支部の塾長という大役を担い、指導者の一人として活動している。
例えば、自分の卒園した保育園での「木育」イベント。園児たちが木を切ったり、とんかちでたたいたりして、おもちゃを作る補助をしながら、木との原体験を作る狙いがある。木の端材を利用したキットでおもちゃづくり。初めてのこぎりを使うという園児たちがほとんどだ。
小さな後輩たちが木に触れる姿に、豆田さんは「子どもでも、やればできるということを学んでもらいたいなって思います。作る楽しさを知ってもらえれば」と思いを語った。
「別の支部でも豆田くんと年の変わらない若い塾長さんたちがいます。いつかは世代交代しないといけない時期が来るので、若い人たちに勉強してもらって、木育の取り組みを次世代につなげていってもらえればなあと思っています」(原嶋さん)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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