無人の客席にショー続けたフラガール 「雨後の虹」で反転攻勢へ

西堀岳路

 「雨が降らなければ虹はでない」。ハワイのことわざにちなんでコロナ禍を雨にたとえ、スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)のフラガールたちが、4月28日から「虹」をテーマにした新しいショーを披露している。「つらいことの後には、きっといいことがあると伝えたい」。営業自粛や観客減を忍んできたフラガール自身の、盛り返しへの願いもこもる。

 ハワイアンズは、新型コロナによる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令、自粛ムードなどの影響で入場客が激減。2019年度に日帰り約127万人、宿泊約45万人だったのが、特に21年度は約3カ月の営業自粛などで、それぞれ34万人と12万人に。運営する常磐興産にとって、コロナ禍は半世紀前の炭鉱閉山、東日本大震災原発事故に次ぐ危機とされた。

 新しいショーの演目は、フラの「虹のかなたに」、タヒチアンの「アヌアヌア(虹の意味)」のほか、ハワイの虹の名所、オアフ島マノアにちなんだ「カ ビューティーアオマノア」など、虹づくし。アヌアヌアは踊り手が7人で、それぞれ虹を構成する色の衣装で登場する。長く演じ続けている「フラガール~虹を」も残した。

 閉山の危機から地元を救おうと立ち上がった炭鉱の女性たちにルーツがあるフラガールの48期生で、第18代キャプテンのラウレア美咲さんは「何度も訪れた危機を乗り越えてきた、それぞれ当時の人たちの思いがあって今がある。それを次へつなげたい」と話す。

 営業自粛中もフラガールたちは、毎晩、無人の客席に向かってショーを開き続けた。いつ再開しても最高の踊りを披露できるようにとの願いからだったが、ラウレアさんは「くじけそうになる仲間もいたけど、震災でステージが壊れていた時もあったから、踊れる場所があるだけ幸せなんだと声をかけ合っていた」という。「お客様に明るい気持ちになって頂ければ。ハワイアンズでしか見ることのできない虹をご覧に入れて、感謝を伝えたい」

 ショーの合間に観客がステージに上がってフラガールと踊る体験コーナーも、感染防止のため休止していたが、ショーのリニューアルに合わせ、3年ぶりに週末休日だけ小学生以下を対象に復活させた。(西堀岳路)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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