熊本産、一夜にして中国産に アサリのインチキ「みんな知っていた」

【動画】アサリ偽装の闇 -黙認の果てに-

 午前3時、競り開始のサイレンが鳴り響く。九州各地から新鮮な魚介類が集まる福岡市中央卸売市場鮮魚市場。「長浜ラーメン」発祥で知られる福岡市・長浜地区にあり、競りの見学もできる全国でも有数の公設市場だ。

 この場所で5カ月前、熊本県産アサリが一斉に消えた。その直前、農林水産省が“熊本県産アサリのほとんどは偽物”というに等しい内容を発表したことが、きっかけだった。

 「熊本県内の漁獲量をはるかに上回る『熊本県産』アサリが流通している」。2月1日、農水省が産地表示の実態調査結果を公表した。その2日後、記者が早朝の鮮魚市場に向かうと、未明の取引を終えた卸売業者2社の担当者が取材に応じた。

 「アサリは昨日まですべて熊本県産だったが、きょうは中国産しか入らなかった」。買い付けに来た仲卸業者らには「中国産だが、よいか」と注意を呼びかけて取引したという。

 この時期、鮮魚市場に持ち込まれるアサリは毎日500~700キロほど。卸売業者2社にアサリをおさめる集荷業者はあわせて8業者いる。ほとんど入れ替わりはなく、付き合いは長い。

 なぜ、一斉に産地が変わったのか――。卸売業者の担当者に尋ねると、困惑しつつも淡々と答えた。

まかり通ってきた都合のよいルール

 「私たちとしては、業者が持…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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