特養の「看取り犬」文福 入居者と家族の別れに寄り添う

それぞれの最終楽章・ペットとともに(5)

特別養護老人ホーム施設長 若山三千彦さん

 今回も、うちの施設の「看取り犬(みとりいぬ)」文福(ぶんぷく=オス)にまつわる物語です。利用者さんがもうすぐ亡くなると察知すると、2~3日前からその方の居室の扉の外で待機を始めます。今回はMさん(享年90)のケースで紹介しましょう。

 Mさんは大正生まれ。2013年に施設に入居しました。要介護4で、主な介護者は娘さんでした。いつも笑顔を絶やさなかったMさん。施設の犬たちをとても可愛がっていました。その中には、もちろん文福もいました。文福もMさんが大好きで、よくなついていました。

 食事をのみ込むのが難しくなる「摂食嚥下(せっしょくえんげ)障害」で、徐々に食べる量が減り、ゆっくりと衰弱していきました。数カ月は、ミキサーですり潰した流動食を食べていましたが、それもできなくなってしまいました。水を飲むことも難しくなり、お茶にとろみ剤を入れ、ゼリー状にしたものを飲んでもらっていました。

 嚥下障害がひどくなると、普通の水分は、さらさらしており、飲み込む前に口の中をすべって気管に入ってしまい、むせてしまうのです。ゼリー状の水分だと、ゆっくりと飲み込めます。ところが、それも難しくなってきました。

 そのころ医師からは「点滴とい…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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