王貞治さんも通った宮崎の老舗うどん店、新装オープン

 長嶋茂雄さんや王貞治さんもプロ野球春季キャンプで通った宮崎市川原町の釜揚げうどん老舗「重乃井(しげのい)」の建て替えが終わり、1日、新装オープンした。常連客や観光客に長年親しまれた築98年の旧店舗のたたずまいを再現し、来店した多くのスターの写真も飾られている。

 白いゆで汁に浸るコシの優しいうどんを、刻みネギと揚げ玉の浮いたつゆにつけてすする。この一品を50年以上守ってきた。1920(大正9)年ごろの木造2階建て家屋を改装して営業してきたが、耐震性を備えるために今年2月末でいったん店を閉め、同じ場所に建て替えていた。

 新店舗は木造平屋で、収容人数は以前と同じ46人。外壁の格子造りや店内のテーブルの配置などは旧店舗の雰囲気を引き継いだ。テーブル、椅子、8畳の客間を仕切る障子は再利用。天井やカウンターには宮崎産の杉を使った。梅雨や台風の影響でオープンは2カ月近く遅れたが、おかみの伊豫展子(いよのぶこ)さん(69)は「できるだけ変わらない店構えを心がけました」という。

 旧店舗にあったスポーツ選手や芸能人の50枚近い写真も飾ってある。入り口付近には新たに「長嶋さんコーナー」を設け、プロ野球巨人の選手、監督時代の厳選した写真10枚を並べた。

 伊豫さんにとって常連客の長嶋さんと王さんは「家族のように身近な存在」。9月下旬、長嶋さんには「(巨人の)リーグ優勝おめでとうございます」と添えた手紙で、王さんにはメールで新店舗の開店を伝えたという。

 オープン日に消費税が10%に上がったが「この値段で慣れてもらっているから」と、うどんは以前と同じ並650円、大850円(いずれも税込み)。

 「気持ちは新たに、変わらない店構えでお待ちしています」と伊豫さん。8月には長男で3代目の雄三さん(43)に遼真(はるま)ちゃんが生まれた。「この店は4代目まで続けられるかもしれないね」

 重乃井は1966年開業。当初は築100年での建て替えを考えていたが、2018年9月の北海道地震で倒壊する木造家屋の映像を見て、時期を早めた。プロ野球の春季キャンプが終わった2月末にいったん店を閉め、駐車場に設けた仮店舗で営業していた。(高橋健人)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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