生きづらさも発達障害もありのままに 文章を書くことで広がる世界

 私は、発達障害がある長男(22)には好きなことを伸ばして成長してほしいと思ってきた。「書くこと」で何を得られているんだろう。本紙朝刊の「声」の投稿者を訪ねた。

 青森県三沢市米軍基地。「トイレで手を洗い、容器に採取して……」。山根寛子さん(43)は、迷彩服に身を固めた米兵に流暢(りゅうちょう)な英語で話しかけた。基地で違法薬物の検査のための検体採取の仕事をしている。

私は文を書くことが長所です 事務職員 山根寛子(青森県 41)

「絵を描くことは私の長所だ」という中学生の投稿を読んだ。「自信がない私にとって、たった一つの自分の強みだと感じる」とあった。私も同じと気づいた。成人後、発達障害との診断を受けた。自信がなく、取りえもないと思っていた。でもこの方と同じように好きなこと、つまり書くことを続けてきた。少しずつ自信を持てるようになった。(2020年4月24日、「声」欄投稿要旨)

 つまずきを感じたのは大卒後、就職をしてからだった。得意の英語を生かし、決まった作業は着実にこなす。だが、複数の仕事が重なると混乱した。上司らが「普通はできるでしょ」といらだつたびに「消えたい」と思った。職場を転々とし、スーパー事務員だった2015年、うつ病と診断され休職。その後退職し、16年3月に現在の仕事に就いた。

 5年ほど前、知人から「発達…

この記事は有料会員記事です。残り793文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment