知床住民「とにかく無事で」 現地「川のように流れ速くなることも」

 「船が浸水している」――。北海道の世界自然遺産知床半島を巡る乗客・乗員26人を乗せた観光船は23日午後、斜里町沖で救助を求めた後、連絡が取れなくなった。海上保安庁はヘリや巡視船で捜索を続けたが23日夜時点で、船はまだ見つかっていない。地元の住民たちは「とにかく無事で」と願った。

 夜になっても詳しい情報が入らない中、知床半島の地元で漁業や観光業を営む関係者は情報収集に追われ、乗客の安否を案じた。斜里町の「知床遊覧船」の事務所には23日午後11時現在、人の姿が見られなかった。

 斜里町にあるホテルの従業員は「宿泊客が乗船しているかもしれないので確認作業を進めているが、情報が集まらない」と不安そうに話した。別のホテルの営業支配人によると、宿泊客の多くが観光船を利用するという。「乗っているお客さんらが無事であってほしい」と心配する。

 知床半島周辺では23日、波浪注意報や強風注意報が出ていた。斜里町のウトロ漁港の漁師瀬川康彦さん(64)は、午後から風が強くなり、現場周辺の海がしけることを予想し、漁師仲間と「昼が過ぎたらダメになるぞ」と声を掛け合って、正午ごろには港に帰ってきた。瀬川さんは「午後から波が荒れると見込まれる日に、岬まで行くのはあまりに無謀でちょっと考えられない。何とか助かってほしい」と話した。

 ウトロ漁業協同組合には、海保から「知床遊覧船のエンジンが止まり、船に水が入ってきている」との情報が寄せられた。同漁協は海上での救助に向け、出発の準備を進めた。ただ、波が高く、二次被害の恐れがあるため、出航は見送り、待機していたという。

 この日の海水温は3度程度とみられ、乗客の安否も懸念される。

 知床半島東側の羅臼町にある「知床ダイビング企画」の関勝則社長(68)によると、沖合は23日、白波が立っていたため、ダイビング船は出ていなかったという。関さんは「海に落ちれば、低体温症になってしまう危険がある」と話した。

「流れが川のように速くなることも」

 観光船が航行していた知床は…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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