福岡・中間市の園バス5歳児熱中症死から1年 遺族の癒えぬ胸の内

安斎耕一、板倉大地

 福岡県中間市の双葉保育園で昨年7月、園児の倉掛冬生(とうま)ちゃん(当時5)が送迎バス内に取り残され、熱中症で死亡した事故から29日で1年となる。命日を前に26日、冬生ちゃんの遺族が報道陣の取材に応じ、いまも癒えぬ苦しい胸の内を明かした。

 「1年経ったけど、冬生ちゃんに会いたくて仕方がないです」。好きだった果物やゼリー、ぬいぐるみなどが供えられた仏壇に手を合わせた母親(38)は、涙をにじませながらこう語りかけた。祖父(69)は「同じくらいの子を見ると『生きていたら、このくらいかわいかっただろうな』と思う。なぜこんなことが起きたのか。1年経っても考えている」と話した。

 この事故で福岡地検は、当時の園長だった浦上陽子前園長(45)と、園児を降車させる係だった女性保育士(59)の両被告を、3月31日付で福岡地裁に業務上過失致死罪で在宅起訴している。

 起訴状などによると、2人は昨年7月29日朝、園児7人が乗った送迎バスが保育園に到着した際、泣いていた園児をあやすのに気をとられ、冬生ちゃんを残して施錠。炎天下のバスの中に同日午後5時すぎまで放置し、熱中症で死亡させたとされる。

 刑事裁判は今秋に始まる見込み。祖父は、当時何が起き、孫はなぜ命を落とすことになったのか、前園長らから改めて詳しく聞きたいと願っている。「罪を重くしてもらいたい。事故は絶対繰り返して欲しくない。冬生が最後の犠牲者に、と思っている」と語った。行政に対しては、再発防止のために「点呼など(保育施設向けの)ルールをつくって、それを常に守っているか確認してほしい」と求めた。(安斎耕一、板倉大地)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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