福袋の店頭販売、「復活」でにぎわい 名古屋市の百貨店で初売り

土井良典

 名古屋市内の百貨店で2日、新春の初売りがあった。新型コロナウイルス感染対策の「密」回避のため、昨年の年始は取りやめた福袋の店頭販売を復活させた店も。感染者数が多く、静かだった昨年と比べて人出が増え、にぎわいを取り戻した。

 同市中村区のJR名古屋高島屋は、年始の福袋店頭販売を復活させた。開店時刻の午前9時半前に並んだのは約1600人(同店発表)。コロナ禍前の2020年(約7千人)の2割ほどだが、21年の約700人から倍以上に増え、「福袋効果」がてきめん。開店を20分早めた。一方、店は感染防止のため検温や消毒などを呼びかけた。

 用意した福袋は、店頭とオンライン販売を合わせ、昨年並みの約2万2千個。コロナ禍の影響を受けた学生を応援しようと、就活生の買い物を同店の専門員がサポートする福袋や、東京五輪のメダリストを教室や部活に呼ぶことができる福袋など変わり種もあった。また、家具つき注文住宅が建てられる1億円福袋も登場した。

 1階の婦人雑貨売り場では最大8割引きという福袋が並んだ。店員の「お値打ちですよ」のかけ声に誘われ、一人で10個近く買う人もいた。

 午前4時半から服やジュエリーの福袋目当てで並んだ、愛知県内に住む社会人1年目の越後まりなさん(23)は「初売りに行くのが小さい時から恒例行事だった。午前3時に起きて来た」と言う。就職活動をコロナ禍が直撃。ある企業の入社試験では検温で体温が37・5度以上あったため、その日は試験を受けられないという経験もした。あちこちに出かけたい気持ちもあったが、「行くと罪悪感を感じる」と控えめにしていた。「少しずつ日常が戻って、コロナのことや周囲の目を気にせず、行動できるようになればいいな」と話した。

 愛知県内の元日のコロナ感染発表者は21年の193人に対し、今年は14人。感染者数の落ち着きも人出に影響したようだ。同市中区の松坂屋名古屋店では午前4時半から約3千人が行列をつくった。コロナ禍で一人でも楽しめる「独り占め企画」福袋が用意され、プロゴルファーとラウンドできるゴルフの体験型福袋(抽選)などがあった。名古屋三越栄店でも、高級車「マクラーレンGT」が抽選で当たる高価な福袋などが準備され、大勢の客でにぎわった。(土井良典)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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