笑いと汗止まらない オンライン手話講座 「壁」壊そう

 笑いと汗が止まらない。講師は手も顔も、時に全身を激しく動かし、画面の向こうの参加者を笑かす。目指すは、壁を壊すこと。(花房吾早子)

拡大する画面越しに参加者の笑いを誘う(左から)石田竜士さんと中川綾二さん、岡﨑伸彦さん=2021年2月1日

 「点呼ターイム! 呼ばれたら大きく手を振ってくださーいっ」。講師の中川綾二(りょうじ)さん(31)が目と口を大きく開き、手話と声で画面に向かって呼びかける。2月8日夜、2回目のオンライン手話講座が始まった。

 最初は手話体操。大阪体育大卒業の石田竜士さん(35)が、体操のお兄さん風に画面に登場した。ラジオ体操第一の曲が流れる。「さあ、みなさんご一緒に」。体を動かしながら前回習った手話を復習する。

拡大する画面越しに表情豊かに手話を伝える(左から)石田竜士さんと中川綾二さん、岡﨑伸彦さん=2021年2月1日

 「いいよー」「ばっちりー」。2人と共に講師を務める岡﨑伸彦さん(38)が満面の笑みで参加者の手話を褒める。

 1時間余り続いた講座の最後は、アップテンポの音楽に合わせ、手話の単語を反復練習。「嫌い、好き、嫌い、好き」「しない、お願い、だめー」。参加者たちは、手と顔をめいっぱい動かしていた。

拡大する画面の向こうの参加者に向かって「見たい」の手話を伝える中川綾二さん(手前)たち=2021年2月8日午後7時45分、大阪市淀川区、花房吾早子撮影

 講座は、手話を使ったコントや歌などを舞台で披露する一般社団法人「手話エンターテイメント発信団oioi(オイオイ)」(大阪市)の主催。2005年、聴覚に障害のある人とない人が一緒に結成し、全国各地で公演してきた。現在、聞こえない15人、聞こえる28人がメンバーだ。

 今回の講座で中心的な役割を担う中川さんは「暗かった僕が、人前で笑いをとるなんて思いもよらなかった」と話す。

 大阪府豊中市の出身。聴覚に障害のある父(61)と兄(33)、健聴者の母(59)の元で生まれ育った。自身も生まれた時から聴覚障害があり、右は列車の音、左は大声を近くで感じ取れるレベルだ。家庭では唇の形を読み取り、声を出して伝える口話でお互いに意思疎通をとってきた。

 市立の小中学校の普通学級に通…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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