紀伊半島豪雨8年 難逃れた廃校舎をにぎわい拠点に(産経新聞)

 11人が死亡・行方不明となった奈良県五條市大塔(おおとう)町では、奇跡的に難を逃れた旧大塔小中学校の廃校舎が、地域のにぎわい拠点として生まれ変わろうとしている。「復興のシンボル」として、さまざまな催しが企画され、8年という年月を経て、活気が戻ってきた。

 平成23年9月4日朝、大塔町を大規模な山腹崩壊が襲った。土砂にのみ込まれて8人が死亡し、3人が行方不明のまま。大塔小中学校ではプールの管理棟が流され、運動場の一部も崩れた。この日以降、16人いた児童・生徒らは校舎で再び学ぶことはかなわず、同校は26年4月に休校、昨年3月末で廃校となった。

 学校周辺の風景は一変したが、意匠を凝らした木造校舎だけは奇跡的に被害を免れ、無傷で済んだ。16年に完成し、使用期間はわずか7年余り。地域住民からの要望があり、市は昨秋、「大塔ライフハウスプロジェクト」を発足させた。

 第1弾は昨年12月、廃校舎に宿泊してリースづくりを楽しんだり、地元で取れたイノシシやシカを鍋にしたりする催しだった。県内外から集まったのは15家族約50人。プロジェクトを立ち上げた五條市大塔支所の地域おこし協力隊、村上祥隆(よしたか)さん(55)は「町ににぎわいが戻った感じだった。人が集う場所にできると思った」と振り返る。

 その後は障害のある児童の発達をサポートする「森のがっこう」や、地元住民を対象とした「健康体操」などを企画。今月7日まではドイツ在住のダンサー、布谷佐和子さんら男女7人が廃校舎に短期滞在し、コンテンポラリーダンスの創作活動に没頭中だ。

 今後は看護小規模多機能型居宅介護の事業所開設を目指しており、村上さんは「廃校舎を拠点に地域の皆さんが助け合えるようなコミュニティーを作り、町を元気にしたい」と力を込めた。(石橋明日佳)

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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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