紅い妖精、愛情たっぷり子育て 北海道の島での調査でみえた過酷さ

 絶滅が心配されている海鳥「ケイマフリ」の国内最大の繁殖地は、北海道北部の日本海に浮かぶ天売島(てうりとう)にある。海に面した断崖につくられた巣に島の環境団体が3年にわたりビデオカメラを置いた。映し出されたのは愛情たっぷりの子育て、そして、過酷な生存競争だった。

 名の由来はアイヌ語で「赤い脚」を意味するケマフレ。「紅(あか)い妖精」とも呼ばれる。体長約40センチ。夏は全身黒色で、目の周りに白色の輪があり、水かきのある脚の朱色が特徴だ。繁殖地は国内では北海道の天売島や知床など限られ、環境省レッドデータブックで「絶滅の危険が増大している種」に指定されている。断崖の岩の間に巣をつくり、詳しい生態はわかっていない。

 天売島の環境団体「守りたい生命(いのち)プロジェクト」(寺沢孝毅代表)が、国など関係機関の許可を得て、2019年から一つの巣穴に4Kカメラを設置した。巣づくりをする4月から、ひなが巣立ちケイマフリが島を離れる7月までの間、毎日12時間、巣の様子を撮影した。カメラの電池と録画機材は約20メートル離れた場所に置き、繁殖に影響がないように交換した。

 ケイマフリは冬の間は繁殖地の沖に出て、4月ごろに島に戻り、巣づくりをする。最初に映し出されたのは、オスが巣穴に入り、小石をどけたり枯れ草を入れたりする姿だった。そのあとメスがやってきて産卵する。抱卵はメスとオスが交代でした。

 約30日後、ヒナが生まれた…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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