紙袋二つを蹴飛ばした後に出火 谷本容疑者、現場へは自転車で移動か

 大阪市北区の雑居ビル内のクリニックで24人が死亡した放火殺人事件で、男が二つの紙袋をクリニック内に持ち込み、直後に出火する様子が防犯カメラに映っていたことが分かった。大阪府警はこの男が放火して殺害したとして、現住建造物等放火と殺人の疑いで捜査している。

 府警は19日未明、男を住所、職業不詳の谷本盛雄容疑者(61)と発表した。重度の一酸化炭素(CO)中毒などで重篤という。

 府警の発表によると、院内に設置されている複数の防犯カメラのデータを18日に確認。谷本容疑者とみられる男が出火直前、両手に紙袋を持ってエレベーターで来院し、受け付けをした後に紙袋を床に置いて蹴飛ばし、しゃがみ込んだ際に出火した様子が映っていた。谷本容疑者が避難する様子はなかったという。

 府警は紙袋に可燃性の燃料が入っていたとみている。事件現場からは油分が検出され、ガソリンの可能性があるとみて分析している。

 谷本容疑者は現場から搬送されたが、催涙スプレーのようなもの2本をポケットの中に入れていたことも確認された。府警は、谷本容疑者が計画的に多くの人たちに危害を加える目的でクリニックを訪れたとみている。

 ビルの中にはクリニックの診察券や運転免許証が入った財布が残されていた。府警はこれらの資料や身体的特徴から、谷本容疑者と特定した。

 ビル火災の約30分前、大阪市西淀川区の住宅で起きた放火とみられる火災の現場からも油分が検出された。この住宅には谷本容疑者が滞在していた可能性があり、府警は住宅を家宅捜索して調べている。住宅と火災が起きたビルの距離は約3・5キロある。

 この火災の後、クリニックの方向に向かって自転車で移動する谷本容疑者とみられる男の姿も防犯カメラで確認された。自転車のかごには紙袋が積まれていたという。この男が事件のあったビルのそばに自転車を止め、紙袋を持ってビルに入っていく姿も周辺の防犯カメラに映っていたという。府警は18日、この自転車を押収した。

 府警は谷本容疑者が事件前に書いたとみられるメモを押収しており、内容を分析している。

 捜査1課によると、谷本容疑者は17日午前10時20分ごろ、大阪市北区曽根崎新地1丁目の「堂島北ビル」の4階にある心療内科の医院「西梅田こころとからだのクリニック」で、何らかの方法で火をつけて、数十人を殺害した疑いがある。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment