終身雇用前提は限界…新時代の働き方「1日6時間労働」を提言(TOKYO MX)

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。5月22日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、社会学者の西田亮介さんが企業の雇用制度について意見を述べました。

◆経団連会長「雇用維持のために事業を残すべきではない」

日本政府は、70歳まで働きたい全ての人が働けるよう、企業に高齢者の雇用機会を作る努力義務を課す方針を打ち出しました。高齢者の働く意欲を活かし、人手不足の緩和に繋げる狙いがある一方で、低賃金で働かされたり、仕事中のケガが増えたりすることなどが懸念されており、今後具体的な検討を進めていくとしています。

一般社団法人 日本経済団体連合会(以下、経団連)の中西宏明会長は、5月7日(火)の定例会見で、終身雇用について「制度疲労を起こしている。終身雇用を前提にすることが限界になっている。雇用維持のために事業を残すべきではない」との見解を示しています。

中西会長の見解に対して、西田さんは開口一番「良くない」と異論を唱えます。新卒一括採用が見直され、2022年春入社から順次、通年採用へ移行することもあり「日本型経営の基本的条件が変わりつつある。それを経済界主導で変えていくというメッセージと取れる」と言います。

そして「現在、経済界が抱えている事情もわかる」と理解を示した上で、製造業の競争環境の変化を挙げます。

特に、自動車業界は、CASE革命(C=Connected/ネットワーク化、A=Autonomous/自動運転、S=Share/シェアビジネス、E=Electric/電動化)に伴いビジネス業態が大きく変わってきており、IT企業やソフトウェア企業との新しい競争を強いられています。

◆カギはグローバル化

製造業の新たなライバルとなるIT企業の強みについて、工場をあまり保有しておらず、従業員数も少ないので、新規の研究開発に多くの投資をおこなうことができると西田さん。

そんな強敵と競争しなければならないことに加え、製造業は「グローバル化が進んでいて、国内市場の存在感が低迷してきている」と指摘します。さらに少子高齢化が進んでいることから「日本市場の存在感はさらに低くなる」と推測し「人材の配置や雇用などもグローバル化に直結させていくのが、企業にとって最も合理的」と主張します。

1994年の経団連の報告書では解雇規制の緩和について書かれていたそうで、“解雇規制を緩和すると、一時的に雇用は減少するだろう。さらに労働需給が全体として均衡すると想定されるものの、雇用のミスマッチが拡大する恐れがある。けれども企業の競争力を確保するためには、解雇規制の緩和をやらなければならない”といった旨の記載がされていたことを説明。「解雇規制の緩和は、高齢化が進んでいる日本とは相性が悪いのでやめたほうがいい」と提言しました。

◆労働時間を減らして生産性を上げる

元財務官僚でニューヨーク州弁護士の山口真由さんは、「終身雇用やいわゆる日本型の雇用システムは、高度成長期のモデルとしてはバッチリだった。解雇については、ある程度はやむを得ないけれども、日本企業の福祉的な機能を守るためにどうしたらいいのかを考えたほうが良いのでは」と意見を述べました。

最後に、西田さんは「日本の労働生産性の低さは以前から言われているが、労働時間を減らすと追加コストをかけなくても労働生産性は上がる。見かけ上の残業時間もなくなるので、時間あたりの取り分も増える」とし「ある種、妥協策として、標準労働時間を6時間、週30時間制を導入すると面白いのでは」と提言しました。

番組では、視聴者に「あなたは終身雇用ですか?」というテーマで、生投票を実施しました。結果は以下の通りです。

◆あなたは終身雇用ですか?
終身雇用……762票
終身雇用ではない……1,035票
働いていない……738票
その他……315票

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

Japonologie:
Leave a Comment