絶景と落差約60mの絶壁、歴史を刻む採石跡 見えるは富士か地獄か

 「これはやばい」と途中で引き返した人がいた。柵から少し身を乗り出してみる人もいれば、それを遠くから見て「やめて、やめて」と震える人もいる。

 千葉県富津(ふっつ)市と鋸南(きょなん)町にまたがる鋸山(のこぎりやま、標高329メートル)。山頂近くの「地獄のぞき」は、岩場が空中に突き出ている。目の前に広がるのは東京湾とその対岸、天候がよければ富士山まで一望できる絶景。だが見下ろせば、吸いこまれそうな落差約60メートルの断崖絶壁だ。

【撮影ワンポイント】 空中に飛び出た「地獄のぞき」

 せり出した岩は人気の撮影スポットだ。岩の先端で記念撮影をする人たちが次々と訪れる。切り立った岩からのせり出した様子が目立つように、太陽光に照らされる時間を狙って撮影した。かつてつながっていたとされる反対側の山の影が、狙い通り眼下の木々にくっきりと映って見えた(小林正明)。

 江戸から昭和の時代まで「房州石」を切り出した鋸山は、ノコギリの歯のような稜線(りょうせん)とびょうぶのように削られた岩肌が独特な存在感を放つ。地獄のぞき周辺はかつての石切り場。この形状がなぜ残った? いや、よくぞ残った。

 山道を進むと、巨大な石切り…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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