羽田の発着枠も… 人事めぐる会議、元官僚がちらつかせた古巣の権限

 東証プライム上場の「空港施設」社。その代表取締役に誰が就くか。社幹部らによる会議は紛糾していた。

 2021年5月31日。人事案を諮る「指名委員会」の開催が目前に迫り、タイムリミットぎりぎりだった。

 引き金は、国土交通省OBで取締役(当時)の山口勝弘氏(64)が国交省側の意向だと主張し、自身の副社長就任を要求したこと。

 同社の社長には長年、国交省OBが就いてきた。流れをかえて民間出身者を社長と会長に据え、新たなスタートを切る方向で議論が進んでいた矢先の要求だった。

 「山口さんが副社長に自薦でなることについて、どういう理由を考えておられるかがよくわからない」

 出席者の戸惑いを受け、山口氏が口にしたのは、航空大手2社の名前だった。

 日本航空(JAL)とANAホールディングス(ANAHD)。空港施設社の主要株主だ。

 趣旨はこうだった。

 2社の「トップにつながる方」と話をしている。山口氏が代表取締役に就く案に「異議はない」と確認済みだ――。

「奴隷のように言うことを…」

 民間出身者が社長に就けば、国交省側からみれば、半世紀にわたり省OBが占めてきたポストを失う形になる。

国土交通省OBの人事介入問題の実態や背景に、関係者への取材や入手した記録で迫るA-stories「令和の天下り」の2回目。民間企業に天下ったOBは会議の場で航空業界における古巣の強大な権限に言及しました。

 「大丈夫ですかと、そこはも…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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