脳卒中後に起きる認知症 検査は半数以下、発症率は3割

 脳卒中後に起きることが多い認知症。国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)のアンケートでは、脳卒中後に認知機能検査を実施している医療機関が半分以下にとどまることがわかった。同センターは早期の発見のため、検査を広めたいとしている。

 脳梗塞(こうそく)や脳出血といった脳卒中になると、脳が傷つくことで認知機能が低下する「血管性認知症」になることがある。脳卒中後の認知症は、約3割の患者に起こると言われてきた。

 チームは2018年7月~8月、脳卒中患者が多い全国500医療機関にアンケートした。165施設の回答についてまとめたところ、脳卒中後の合併症で一番多いものとして、26%の機関が認知症を挙げた。これは35%だった嚥下(えんげ)障害に次いで多かった。ただ、認知機能検査をしている医療機関は5割以下にとどまった。

 認知症の症状としては、物事を順序立てて行うことが難しくなる「実行機能障害」▽記憶障害▽意欲や関心が低くなる「アパシー」▽言葉が出にくくなる▽怒りっぽくなる――の順で多かった。

 認知機能検査は三つの単語を覚えるなどの項目があり、主なものは保険でできる。同センター脳神経内科の鷲田和夫医長は「認知症を見逃して放置すると1年でかなり症状が進んでしまうこともある。早期発見と治療が大切で、脳卒中発症3カ月以内に検査をするべきだ」と話す。脳卒中の治療ガイドラインに反映するよう働きかけていきたいという。(杉浦奈実)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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