臨時休校の判断は正解なのか…教育改革実践家が3つの盲点を指摘!(TOKYO MX)

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。3月3日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、教育改革実践家の藤原和博さんが、安倍首相が要請した臨時休校について持論を展開しました。

◆「3.11の教訓をもう一度思い出すべき」

安倍首相は2月27日、新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、3月2日から春休みに入るまで全国の小中学校と高校、特別支援学校に臨時休校にするよう要請したことで、全国で混乱を招いています。

一斉休校について藤原さんは、「日本人の多くは“みんな一緒”“一斉に揃って”が好きな一面がある。バラバラの対応が気持ち悪かったりする。しかし今回は違うと思う」とし、「みんな揃って一緒のところに避難すると、かえって生存戦略として間違えてしまうことがある」と言います。

そして、今回の局面を東日本大震災となぞらえて説明。津波から逃れるには、てんでんこ(各自てんでばらばら)に自分で判断してとにかく逃げろという意味の災害用語“津波てんでんこ”を挙げ、「3.11の教訓をもう一度思い出すべき」と主張します。

東日本大震災では、大川小学校(宮城県石巻市)の児童が揃って校庭に避難し、親が迎えに来るのを待っていた多くの子どもたちが津波の犠牲になりました。こうした事例からも、「危機的状況に際しては、それぞれ一人ひとりがバラバラに動くことがすごく大事」と藤原さん。

安倍首相による臨時休校の要請直後、千葉市の熊谷市長は、医療関係で働く親御さんや共働き世帯などを考慮し、感染防止に配慮した上で、小学校低学年の児童を学校で受け入れることを表明するなど、全国の自治体ではバラバラの対応が少しずつ起こっています。

◆臨時休校で懸念される3つの不具合

そもそも学事日程やカリキュラムは校長の権限で決められるにも関わらず、政府の要請通りに一斉に臨時休校とすることによって、3つの不具合が起こり得ると藤原さんは指摘。

1つ目は、学校での給食が“命綱”の児童がいること。「特に中学生。朝食べられないとか、親から500円を渡されて『弟とこれで1日生きてね』と言う無茶苦茶な親もいて、虐待や離婚も増えている」といった背景を説明し、改めて「給食が“命綱”の子がいるということを意識すべき」と強調します。

2つ目は、臨時休校の影響で懸念される学力格差。「おそらく塾や予備校は休まないので、(休校の間)学力差がものすごく開いてしまう。(そうならないためにも)学校もオンライン動画での授業にシフトするなど力を入れるべき」と主張します。

そして3つ目は、「反社会勢力も休まないであろうこと」。臨時休校に伴い、部活動も実施されないことから、中高生がゲームセンターなどいろいろな場所に外出する可能性があり、「そういう子どもたちを待ち構えているのは反社会勢力の人たちだったりする」と予期せぬ犯罪に巻き込まれてしまうことを案じます。

これら3つの懸念事項があることから、藤原さんは「児童・生徒はなるべく学校で抱え込んだほうがいい。約1,300万人の児童・生徒は、一斉にではなく“津波てんでんこ”の要領でバラバラに自分の判断で身を守ろう!」と呼びかけ、「それを今一度、子どもたちに教育することがものすごく大事」と話します。

これにMCの堀潤も大きく頷き、「大川小学校の(亡くなった)子どもたちのなかには『先生早く逃げよう』とか提案していた子もいた。ルールに縛られていたのは大人(教員)のほうで、判断がつかなかった」と同意。

今回の臨時休校の要請について、藤原さんは「法的、制度的には、学校や教育委員会が判断できる。一斉だと、かえって“豪華客船現象”が起こってしまう」と指摘し、「今回は、自分の思考力、判断力、表現力を磨きましょうという、いいチャンス」と力を込めていました。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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