苦しみ続ける元信者 相談に応じてきた牧師が明かす「後遺症」

 脱会した信者は「後遺症」に苦しめられる。カウンセリングや相談窓口などのフォロー態勢をつくる必要がある――。山口県岩国市で30年以上、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に関する相談に応じてきた、日本基督教団の牧師・村田敏さん(65)は訴える。村田さんが見てきた信者と教団、そしてマインドコントロールとは。

 ――安倍晋三元首相が銃撃された事件を契機に、教団の様々な問題が取り上げられるようになりました。

 信者たちに動揺はないように見えます。むしろ、「これは私たちが待っていた試練。これに耐えれば、私たちの神の国が到来する」と、より信仰を強くしていると感じます。事件を機に信者が脱会するのではないかと期待した家族からも、逆に信仰心が強くなって戸惑っているとの相談もあります。

 旧統一教会はたびたび会見を開き、2世の男性信者が並ぶ様子や、教団を批判する男性の元妻である信者のインタビュー映像を流しました。こうした会見はテレビ画面の向こうにいる信者へ向けた発信、教団本部の「私たちも頑張っている」というメッセージだと思います。

 ――1988年以来、山口、広島、島根を中心に400件以上の相談に乗ってきました。

 役所や警察、弁護士、病院の精神科……。旧統一教会の問題で悩む家族は、様々な機関に相談します。あっちこっち行って無理だと言われ、信者になったのは家族が悪いからじゃないかと傷つけられた人もいる。恥ずかしいし、苦しい。わらにもすがる気持ちで私に連絡してきます。

 私が最初に家族に話すのは、「信者に対してやってはいけないこと」。それは「責めること、怒ること、強制的に改宗させること」。責めれば責めるほど、信者は「神が私を必要としている」と、かたくなになってしまう恐れがあります。

 家族にはまず、ひたすら信者の話を聞いてもらいます。教義のどこにひかれたのか、何を目的に入信したのか。機嫌を取るわけじゃなく、一生懸命聞く姿勢が大事です。

 キリスト教の教義や聖書について説くことはしません。どっちが正しいかなんて話に意味は無い。信者の話を聞き続けることで、信頼関係をつくります。

マインドコントロールを解くには

 ――マインドコントロールとはどのような状態でしょうか。

記事の後半では、最近の相談内容の特徴とその事例や、「後遺症」に苦しむ元信者への支援についての提言、被害者救済新法の問題点などについても語ります

 人の心を教義で外から固めら…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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