行方不明だった「夢二のモナリザ」、岡山の美術館が購入 全国巡回へ

大野宏

 大正ロマンを代表する画家で詩人の竹久夢二(1884~1934)の油彩画「アマリリス」を岡山市中区の「夢二郷土美術館」が購入し、18日、報道向けに公開した。長らく所在がわからなかった作品で、来年6月から、東京など全国5カ所で巡回展を開く。

 着物姿で座る女性とアマリリスの鉢植えが描かれた「アマリリス」は縦約60センチ、横約41センチ。女性のポーズから同館は、レオナルド・ダビンチの作品になぞらえて「夢二のモナリザ」と呼ぶ。

 憂いを含む瞳や手を大きく描く「夢二式美人」の特徴の一方、花と女性を同列に描くという他の美人画にない点もある。女性は職業モデルで、後に恋人になったお葉とみられる。

 1919(大正8)年に福島市であった展覧会に出された後、夢二が18~21年に滞在した東京都文京区本郷の「菊富士ホテル」に寄贈。坂口安吾谷崎潤一郎らも滞在したこのホテルの応接間に飾られていた。

 44(昭和19)年に閉館して所在不明だったが、昨年に東京の画廊にあることが判明したという。

 夢二の油彩画は約30点しか公開されておらず希少。同館の小嶋ひろみ館長代理は「油彩画ならではの夢二式美人の描き方をしており、中期の代表作と言える」と評した。

 夢二の生誕140年にあたる来年以降の巡回展は、6月からの東京都庭園美術館の後、9月からの岡山、翌年1月からの大阪などへと続く。(大野宏)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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