被害者の8割「自分はだまされないと…」 特殊詐欺、警察が再現動画

 「有料サイトの利用料金が未納です」「あなたの口座が犯罪に利用されているのでキャッシュカードを交換する必要がある」などと言われ、お金をとられた被害者の8割が「自分はだまされない」と思っていた。滋賀県警が被害者から聞き取り、集計した。「特殊詐欺」という言葉は知っていても、どんな手口があるかを知らない人が多いことも浮き彫りになった。

 特殊詐欺には、①偽の未納料金を口実にする「架空料金請求詐欺」②銀行協会職員や警察官を装って「犯罪に利用されている」などの名目でキャッシュカードをだまし取る「預貯金詐欺」③親族が起こした事件や事故について示談金を名目にする「オレオレ詐欺」など複数の手口がある。

 2022年に県警が認知したのは特殊詐欺は132件で、被害総額は3億2400万円。21年は104件、1億4100万円だった。被害額は倍以上に増えている。

 22年の被害者のうち104人に「特殊詐欺というものを知っていたか」と尋ねると、「知っていた」が96%の100人。ただ、そのうち「自分が被害に遭った手口を知っていたか」という問いには、77人が「知らなかった」と答えた。被害の6割は自宅の固定電話への着信がきっかけだった。

 また、被害者のうち52人に「自分が被害に遭うかもしれないと思っていたか」と聞くと、79%の41人が「だまされないと思っていた」と答えた。75%の39人は家族や知人、金融機関、警察などに相談したり確認したりして、だまされたことに気付いた。

 電話を常時留守番に設定するなどの防犯対策をしていなかった人は81%の42人だった。常に留守番電話にして、犯人と会話をしないことが被害防止につながると考えられる。

 そのほかの注意点として県警は、「電子マネーの購入」「ATMで振り込み」の話が出たら、全て詐欺▽銀行協会や警察官のような信頼できる肩書の人にも、キャッシュカードを渡したり暗証番号を教えたりしない▽急に心当たりの無い「お金の話」があったら1人で対応せず、信頼できる人や機関に相談する▽迷惑メールの受信拒否を設定する、などを挙げる。

 県警はYouTubeの公式チャンネルで、被害に遭うまでを再現した動画を公開している。「架空料金請求詐欺」「キャッシュカード詐欺盗」「還付金詐欺」などがある。県警の担当者は「被害者の多くは手口を知らなかった。知ることが防止につながる。ぜひ見て欲しい」と呼びかけている。(鈴木洋和)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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