被爆者「ウェルカム」 バイデン米大統領の長崎訪問案に歓迎の声

 来年5月に広島市で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせ、米国のバイデン大統領が被爆地・長崎市を訪問する案が浮上していることが明らかになった。実現すれば、米大統領の長崎訪問は初となる。被爆地からは歓迎の声があがった。

 「ウェルカムです。生き証人である私たち被爆者と語り合ってほしい」。今年8月9日の平和祈念式典で、被爆者代表として「平和への誓い」を読み上げた宮田隆さん(83)は、バイデン氏の訪問案について、こう述べた。

 宮田さんは5歳のとき、爆心地から約2・4キロ離れた自宅で被爆した。今年6月にウィーンで開催された核兵器禁止条約の第1回締約国会議にも参加。会場や路上では、「長崎の被爆者です。何でも聞いてください」と英語で書いたゼッケンを着け、現地の人と交流した。

 宮田さんは「70年経ったって被害は消えない。被爆の実相を見てもらいたい」と話した上で、「核兵器禁止条約に批准しなければならないという意思を、長崎県が先頭に立って伝えるべきだ」と注文した。

 広島の被爆者も今回の動きを歓迎する。2016年にオバマ米大統領(当時)と、平和記念公園で対面した被爆者の森重昭(しげあき)さん(85)は「ロシアのウクライナ侵攻が続く今こそ、平和への思いを表すチャンスだと思っているのではないか」と話す。

 訪問案が実現すれば、バイデン氏は、広島、長崎の二つの被爆地を相次いで訪れることになる。「オバマさんの姿と重なるものがある。バイデン大統領も、米国のトップとして様々な悩みがあるだろう。ただ、個人の立場では核兵器や戦争はいけないと考え、それを形にしたいと思っているのではないか。そう願いたい」(寺島笑花、石倉徹也、黒田陸離)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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