複雑な地下街を足早に 木村容疑者が通ったとみられるルートをたどる

 22日午前7時49分。兵庫県川西市の閑静な住宅街はまだ肌寒く、さえずる鳥の声が響いていた。ちょうど1週間前、岸田文雄首相の近くに爆発物を投げ、演説を妨害したとして現行犯逮捕された木村隆二容疑者(24)は、ここから和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港へと出発した。グレーのリュックを背負って――。

 和歌山県警の捜査で、木村容疑者の事件当日の足取りがしだいに明らかになってきた。同じ土曜日の同じ時間帯、実際に通ったとみられるルートをたどった。

 4月15日の同時刻、自宅近くの防犯カメラに木村容疑者とよく似た人物が映っていた。最寄りの阪急バスの停留所「けやき坂三丁目」に向かっていたとみられる。容疑者宅から歩くと3分弱でバス停に着いた。

 バス停では、制服姿の高校生らしき男性ら3人が並んでいた。すぐに午前7時52分発のバスがやってきた。

 車内には20人くらい乗っていた。若者が多かった。ある女性は「ほかの乗客の顔は見ないから、木村容疑者がいたとしても気づかないよね。マスクもしていたでしょうし」と話した。

 午前8時9分。バスが阪急川西能勢口駅に着き、乗客の多くは駅の改札に向かった。大阪梅田駅行きの急行は12分発。ホームに着いたのは発車1分前だった。電車内の乗客はまばらだったが、終点に近づくにつれて増えていった。

 捜査関係者らによると、木村容疑者は終着の大阪梅田駅で降り、地下鉄御堂筋線に乗り換えたという。なんばまで行き、南海なんば駅を午前9時10分に出る特急サザンに乗ったとみられる。

 梅田の地下街は入り組んでい…

この記事は有料記事です。残り724文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment