角ハイ「濃いめ」生んだ 松山の老舗バー「露口」のカウンター保存へ

【動画】松山の老舗バー露口、山崎蒸留所にカウンターなど移設へ=戸田拓撮影

 「ハイボールの聖地」として全国のファンに親しまれ、昨秋に閉店した松山市二番町の老舗バー「露口(つゆぐち)」の一枚板のカウンターなど店内の設備や備品が、サントリー山崎蒸溜所(大阪府島本町)に移設されることになった。60年以上にわたり洋酒文化を支えてきた空間の記憶が、日本初のモルトウイスキー蒸留所で生き続ける。

 「露口」は松山市の繁華街の路地にあった。マスターの露口貴雄さん(86)は大阪の店で3年間修業し、寿屋(現サントリー)が募集していた松山市のトリスバーの店長に応募。1年務めた後に独立し、1958年8月15日に21歳で露口をオープンした。開店4年目に結婚した妻の朝子さん(80)とカウンターに立ち続けてきた。

 開店当時は洋酒は庶民になじみが薄く、ジャズが流れる店内で洋酒を楽しむスタイルは珍しかった。一貫してサントリーのウイスキーを中心に据える「サントリーバー」で、「ビールを置かない」といった当初の取り決めを閉店まで守り続けたという。

 サントリーウイスキーの角瓶を使った、通常よりウイスキーの割合が多いハイボールが親しまれた。今や缶ウイスキーの定番となった「角ハイボール缶〈濃いめ〉」は、貴雄さんが監修し、2013年に全国発売された。

 美術評論家の洲之内徹(1913~87)やジャズ評論家の岩浪洋三(1933~2012)、世界的指揮者佐渡裕さんら多くの文化人にも愛された。

 しかし、昨年8月、貴雄さん…

この記事は有料記事です。残り592文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment