路線バス車両「不正点検」 北海道の労組、運輸局に再監査要請

 北海道千歳市で路線バスを運行する千歳相互観光バスが、車両の法定点検を不正に行っていたと労働組合が指摘している問題で、労組は16日、ほかにも不正があるとして、同社を再監査するよう北海道運輸局に申し入れた。労組は4月に路線バスの運行を終日とりやめるストライキを実施。6月の団体交渉が決裂すれば再びストを辞さない構えだ。

 札幌地域労組千歳相互バス支部によると、同社は路線バスに使う車両の法定3カ月点検を法律で義務づけられている北広島市の認証工場では行わず、千歳市の本社にある整備場で実施していたとされる。労組の指摘を受ける形で、運輸局はスト前日の4月24日に同社に監査に入ったが、「大きな問題はない」との見解を示した。

 労組は再監査が必要な理由として、①走行の安全にかかわる足回りの部品を認証工場以外の場所で交換していた②2級整備士が退職した直後に3カ月点検をしていたことを挙げている。運輸局の担当者は「再び監査に入るかどうか検討する」としている。

 労組は会社側に厳正な調査を求め、6月5日に再び団交が設定された。会社側が調査に応じなければ、「第2波」の48時間ストに踏み切る方針だ。

 労組の江崎毅支部長は「人の命を預かっている運転手の立場として絶対に認められない。これ以上お客さんに迷惑をかけたくないが、ストをやらざるをえなくなるかもしれない」と話した。

 札幌地域労組の鈴木一副委員長は「安全を軽視していけば知床観光船のような大きな事故につながりかねない。運輸局が動かない場合は、国会議員に働きかけて国会で取り上げてもらうことも考えたい」としている。

 この問題をめぐっては労使の対立が激化し、4月25日に労組が24時間ストに突入。千歳市内を走る5路線97便が終日運休となり、通勤や通学に利用する約1500人に影響が出た。(編集委員・堀篭俊材

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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