辺野古訴訟で玉城知事「法治国家としてあるべき姿か」

光墨祥吾

 沖縄県名護市辺野古の海を埋め立てる米軍普天間飛行場宜野湾市)の移設計画を巡り、県が国を訴えた訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が26日、福岡高裁那覇支部であった。県は、県の訴えが裁判の対象にならないとして却下した一審判決の取り消しを求め、国側は控訴棄却を求めた。即日結審した。判決は12月15日。

 移設計画を巡っては、名護市辺野古の埋め立て予定地で軟弱地盤が見つかり、県が2018年に埋め立て承認を撤回。この撤回を国土交通相が取り消す裁決を下し、県はその裁決の取り消しを求め、19年に提訴した。

 一審判決は、国や自治体が裁判で争えるのは「自己の利益や権利の保護を求めるもの」として、県の訴えは審理の対象ではないと退けた。埋め立て承認撤回の是非は示さなかった。

 控訴審で県側は、裁判の対象が「私的な権利や利益の救済に限って認められるとの解釈に根拠はない」と主張。法廷で意見陳述した玉城デニー知事は、地方自治体が国の裁決の取り消しを求められなければ「違法な裁決が存在し続ける事態に陥りかねない」と述べ、「(国の)誤りを正すことができない現状は、法治国家としてあるべき姿か」と問いかけた。

 また、玉城知事は「沖縄は自治権の行使が著しく制限され、自らの進む道を決めることが許されない歴史があった」と米軍統治時代に触れ、「沖縄にとって自治とは、苦難の時代を経て渇望された重い意味を持つ言葉で、尊厳そのもの」「(一審判決は)地方自治の尊厳など無きに等しいと突き放したようなものだ」と語った。(光墨祥吾)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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