逮捕の五輪組織委元幹部、札幌のマラソンでも「キーマン」 市に衝撃

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日浦統 能田英二

 東京五輪パラリンピックの業務をめぐる談合事件は、大会組織委員会運営局の元幹部が独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕される事態となった。2021年夏の東京五輪では、札幌市で花形競技のマラソンが開催。元幹部は運営を担う「キーマン」として存在感を示していた。札幌市関係者は、市が目指す30年冬季大会招致にさらにダメージを与えかねないと懸念する。

 今回の事件では、五輪テスト大会業務の26件の競争入札やその後の本大会の業務をめぐり受注調整が行われた疑いがある。ただ、札幌で21年5月に行われたテスト大会やその後の本大会については、今回の談合容疑には含まれていない。札幌のテスト大会は運営費は主に組織委が出し、それ以外の経費は市や北海道が負担した。

 東京地検特捜部に逮捕されたのは、元東京五輪・パラリンピック組織委運営局次長の森泰夫容疑者(55)。森容疑者は民間企業から日本陸上競技連盟事業部長をへて組織委に出向していた(22年3月末に日本陸連を自己都合で退職)。

 大会エンブレムや国立競技場の設計など、トラブルが相次いだ東京五輪では、競技会場をめぐっても混乱が起きた。花形競技のマラソンや競歩について、国際オリンピック委員会(IOC)は猛暑の東京での開催に懸念を示し、札幌市での開催が19年秋に突然決まった。

 札幌市では北海道マラソンの開催実績はあったが、通常は準備に3~4年はかかるとされるコース設定や20年以降のコロナ対策など、短期間での対応を迫られた。世界的なイベントに対応できる人材が限られる中、豊富な経験を生かして実務の中心にいたのが森容疑者だった。

 札幌市の秋元克広市長は「五輪・パラリンピックは極めて公共性の高い大会であり、その運営を担い、公正であるべき組織委職員から逮捕者が出たことで、30年大会招致への影響は避けられないと懸念している。市としてはクリーンな大会運営に向けた見直しを進めていく」などとするコメントを出した。

 森容疑者は昨年3月の日本記…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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