逮捕の山形大生、事件直前に不審行動も 被害者との接点見えず 女性医師殺害(産経新聞)

 山形県東根市の医師、矢口智恵美さん(50)が自宅マンションで殺害された事件は、凶器にゴルフパターが使用されたとみられており、強い力で執拗(しつよう)に殴打したためか、天井まで血痕が飛び散っていた。殺人などの疑いで逮捕された山形大4年、加藤紘貴容疑者(23)は事件後も通学を続けており、県警村山署捜査本部の調べに対しては「覚えていない」と容疑を否認。矢口さんとの接点は明らかになっていないが、事件直前には周辺で不審な行動をしていたとみられることも明らかになってきた。

 ■映画、文芸に関心

 新潟県出身の加藤容疑者は、山形大学(山形市)から約150メートル先にあるマンションで1人暮らしをしていた。大学によると、入学は平成27年4月で、昨年10月から半年間「一身上の都合」を理由に休学。今年4月に復学し、事件翌日の5月20日も受講していた。トラブルを起こしたことはなく、指導教員のいるゼミ形式の講義にはほぼ毎回、出席していたという。

 事件当時は2回目の4年生としてキャンパスに通っていた。当初の同級生のほとんどが卒業したこともあってか、講義には1人で出席していることが多かったという。

 学内では「映画研究会」「文芸部」など、かつてはさまざまなサークルに所属。同じサークルに所属していたという同大大学院1年の男性(23)は、入学当初に加藤容疑者と知り合い、アニメや映画の話をしたり、飲み会を楽しむ様子も目にした。「サークル活動には積極的に参加しておらず、夏休み前には全く来なくなった。同級生とは『あの加藤君か。普通だったよね』と話した。事件と、彼の印象は全く結びつかない」

 ■「優しい先生」

 事件現場となった矢口さんの自宅マンションは、加藤容疑者が住んでいたマンションから20キロほど北にある。矢口さんは、さらに北にあるJR村山駅(村山市)近くにある自らの病院で院長を務めていた。住民によると、駐車場がいつも満車になるほど人気があり、「優しい先生」と評判だった。近くに住む大場ヤス子さん(88)は、「てきぱきしてさっぱりした良い先生だった」と振り返る。事件を受けて病院は5月末で閉院した。

 関係者によると、矢口さんは都内で勤務した後、東根市の北村山公立病院に勤務。約10年前に「雰囲気が好きになった」という村山市に病院を開業した。明るい性格で、歓送迎会や忘年会には欠かすことなく参加した。

 矢口さんは約5年前から交際相手の男性と、東根市の焼き鳥店に通っていた。店主を務める男性は「おにぎりと焼きそばが好物だった。いつも焼酎の水割りを2杯ほど飲んで帰っていた」と声を詰まらせた。

 ■接点はどこに?

 事件の焦点は、2人の間に接点があったのか否かだ。これまでの調べでは、加藤容疑者が侵入できる部屋を探し、衝動的な犯行に及んだ可能性も浮上している。

 関係者によると矢口さんは事件前日の夜、病院の歓迎会に出席した後、帰宅した。矢口さんが殺害された5月19日早朝以前に加藤容疑者に似た人物が、現場マンション付近の複数の防犯カメラに映っており、施錠されていない部屋を探すようなしぐさも見せていた。矢口さんの部屋には、鍵がかかっていなかったとみられる。

 捜査本部は、防犯カメラの映像や検出したDNAなどから加藤容疑者を特定。手当たり次第に侵入できる部屋を探し、犯行に及んだ可能性もあるとみて、慎重に捜査を進めている。(吉原実、塔野岡剛)

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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