進む企業の脱首都圏 富士山麓へ移転後の1年をアミューズ社長が語る

 長引くコロナ禍でリモートワークが普及し、住まいだけでなくオフィスも地方に移る時代となっている。「脱首都圏」を試みた企業で、注目された一つが昨年7月に東京から富士山麓(さんろく)に本社を移転した大手芸能事務所アミューズ。移転から1年を迎え、中西正樹社長(48)がその背景を語った。

首都圏から地方へ移転した企業、2021年は過去最多に

 信用調査会社帝国データバンクによると、2021年に本社または本社機能を移転した企業は全国に2258社あった。このうち、東京、神奈川、千葉、埼玉の「首都圏」の1都3県から地方へ移転した企業は351社で、過去最多にのぼった。

 アミューズはサザンオールスターズ福山雅治らアーティストや俳優が多数所属している。同社が新たに本社としたのは、山梨県富士河口湖町の西湖畔の一角だ。

 かつてホテルだった建物とその周辺施設を生かし、森と湖に囲まれた敷地面積は計約8800平方メートル。「アミューズ ヴィレッジ」と名付けられている。

 一部は改装中で、同社の創立記念日である今年10月16日に改めて「お披露目」となる予定だ。ただ、取引先の多くが首都圏にあるため、渋谷オフィスも併用しているという。

 移転を生かした取り組みも始まっている。アミューズは昨年12月、西湖で花火ショーや音楽を楽しめるイベントを開催。今年4月には、「アドベンチャー事業部」を立ち上げ、自然環境や地方創生をテーマにした「FUN OUT!」と名付けたプロジェクトに取り組んでいる。今夏からは、富士河口湖町にあるテーマパーク「富士すばるランド」でキャンプや体験型アドベンチャー企画を手がけている。

2拠点居住の誘致に熱心な山梨県

 受け入れる行政側にも動きがある。昨年、アミューズが移転した山梨県に本社を移転した企業は13社あり、首都圏からの移転企業数では都道府県別で10位にランクインした。

 山梨県は首都圏と山梨との2拠点居住を推進しており、長崎幸太郎知事は企業の誘致に熱心だ。同県は、県内に新たにオフィスなどを設置した企業に対し、産業集積促進助成金など最大3千万円を助成する制度を設けている。

 アミューズとの間では今年6月、包括連携協定を締結。アウトドアアクティビティー、文化、観光の振興などを図り、山梨のブランド価値の向上や地域経済の活性化をめざしている。

アミューズが山梨県に本社を移転してから1年が過ぎました。首都圏が仕事の中心となる業界では異例の決断をしたのはなぜだったのでしょうか。その真相を中西正樹社長が明かしました。インタビューは「アミューズ ヴィレッジ」内にある体育館を改装したオフィススペースで行われました。大きなガラス張りの窓から木々やウッドデッキ、バーベキューコンロなどが見える開放的な場所でした。

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 ――富士河口湖町はアミュー…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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