遊砂地になり、消えるふるさとと桜並木 「下流の人たち守れるなら」

 佐藤秀夫さん(90)は、生まれ育ったふるさとを、時々訪ねる。

 ダンプカーが行き交い、掘り返された土の山があちこちにある。自宅があった所は、コンクリートの巨大な堰堤(えんてい)になるはずだ。

 思い出の場所を杖で指しながら、つぶやいた。

 「集落みなで土手に植えた桜並木も、何もかも、ひっくるめてなくなってしまいました」

 2019年10月12日に上陸し、各地で河川氾濫(はんらん)や土砂災害を引き起こした台風19号(東日本台風)から、4年。

 ここ宮城県丸森町住ケ市(すみがいち)集落も、阿武隈川の支川・五福谷(ごふくや)川上流から押し寄せた土砂にのみこまれ、17世帯中9世帯が住まいを失った。佐藤さんは濁流に囲まれた家の2階で一晩過ごし、ヘリで救出された経験を持つ。

 家々の跡はいま、次の大雨災害に備え、下流の人たちを守る巨大な「遊砂地」に姿を変えつつある。工事は今年6月に始まった。

百年に一度の大雨でも、土砂をここで止める

 あの台風からしばらく後…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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