都民の警察官に村上浩一警部補ら5氏決まる(産経新聞)

 東京都民の安全を守るため職務に励む警察官を表彰する第89回「都民の警察官」の選考委員会が11日、東京都千代田区大手町の産経新聞社で開かれた。今年の受章者に、新宿署地域課の村上浩一警部補(50)▽生活安全総務課の矢部晃警部補(56)▽警護課の能登勉警部補(52)▽福生署石畑駐在所の倉澤秀幸警部補(52)▽八王子署交通課の東川麻早子警部補(58)-の5人が選ばれた。

 選考委員会では警視庁が受章候補者8人を推薦。これまでの優れた実績や人柄など推薦理由が説明された後、選考委員らの審議に移り、最終的に5人を選出した。委員らは交通部門での経験が豊富な村上警部補について、「全国白バイ安全運転競技大会で、警視庁チームの指導者として優勝に導いている」などと高く評価した。

 女性で唯一の受章となった東川警部補については「事件捜査だけでなく、通訳や警備など多くの部門でも活躍している」。ほかの3人についても「目に見えない形でも多大なる貢献をしている」などと賛辞を贈った。

 表彰式は、8月19日午後1時から千代田区大手町の大手町サンケイプラザで行われる。

 受章者の横顔

 ■新宿署地域課 村上浩一(むらかみ・こういち)警部補(50)

 交通部門で26年余り勤務してきた中で、事件事故の解決に加え、白バイの運転技術を伝承する立場としても警視庁を支えてきた。「白バイの運転で職員を殉職させないために職務にあたってきた」と振り返る。

 平成29年4月、白バイ訓練の警視庁技能指導官に指定され、指導した多くの後継者が第一線で活躍。全国白バイ安全運転競技大会では警視庁チームのコーチと監督を務め、団体優勝5回の結果を残した。「教え子が後進の指導に当たっている姿を目にすると、やってきてよかったと思える」と目を細める。

 東日本大震災では、甚大な被害を受けた宮城県に派遣された。交通網が完全にまひした中で交通整理に当たり、緊急車両をスムーズに通行させて被災地支援に尽力した。

 現在は地域課員として、保護した認知症の高齢女性の家族を捜し出すなど活躍を続ける。受章決定の知らせに、「もう一度白バイに関係する職務に就き、これまで培った経験を生かしたい」と意欲を見せた。

 ■生活安全総務課 矢部晃(やべ・あきら)警部補(56)

 「非行少年が更生するきっかけを与えることは、少年だけではなく、両親や周りの人にとってもいい方向へ進む」。警察官人生の大半は、少年事件の捜査現場に身を置いてきた。

 少年事件課で勤務していた平成25年1月、調布署管内で不良少年グループ同士の抗争が勃発。集団暴行に関わった少年らを割り出し逮捕した。曖昧な供述を繰り返す少年にも粘り強く向き合い、最後は自供を引き出した。

 少年事件は、犯人逮捕だけが目的ではない。少年に寄り添い、立ち直るために手をさしのべることも必要だ。「取り調べの途中で口を挟まず、しっかり話を聞いて相手を理解してあげることが大切」と強調する。

 現在は人身安全関連事案総合対策本部ストーカー対策室を兼務。多様化、複雑化するストーカー事件に日々向き合う傍ら、後進の育成にも力を入れる。「時代が変わっても、相手の心情を理解する大切さなど、事件捜査の変わらない部分を伝えていきたい」と決意を新たにする。

 ■警護課 能登勉(のと・つとむ)警部補(52)

 時に自らの身をていして警護対象者を守り、時に現地関係者との綿密な打ち合わせで警護態勢に万全を期す。21年に及ぶ警備部門での仕事ぶりは、政府要人をはじめ、多くの警護対象者から絶大な信頼を寄せられている。

 要人警護は事前の情報収集から始まる。計39回を数えた海外出張では、テロ行為が懸念される国や地域に行くことも。平成28年の防衛相の南スーダン視察では、街中に小銃があふれる環境で、現地の警察官との折衝に当たった。

 12年の「九州・沖縄サミット」では半年間にわたって派遣され、警備計画の策定段階から携わった。真夏の過酷な環境下の警備で熱中症対策にも気を配り、無事サミットの成功につなげた。

 現在は自らの警護技術の伝承にも力を注ぎ、その指導は「能登学校」と呼ばれるほどだ。「警護に必要なのはアンテナの高さと我慢強さ。伝統を守りながらも、時代に合った指導をしていきたい」と一層身を引き締める。

 ■福生署石畑駐在所 倉澤秀幸(くらさわ・ひでゆき)警部補(52)

 「街の人と近い距離で地元のために動く駐在は、警察官というより“保安官”というイメージ」。石畑駐在所で地域に密着した警察活動に取り組み、8月で18年。住民からは「倉ちゃん」と親しまれている。

 着任以来、小学生の登下校時の交通整理と見守り活動を毎日欠かさず続けてきた。管内のパトロール時には住民との会話を大切にし、地域に異変が起きていないか常に目を光らせる。

 地道な活動は事件捜査でも力を発揮する。平成17年、福生市や周辺で乗用車や公園のトイレなどが燃える連続放火事件が発生した。手がかりが少なく捜査が難航する中、顔なじみの住民から犯行現場近くに停車する不審車の目撃情報を得て、犯人の逮捕につなげた。「住民に助けられているのだと実感した」と振り返る。

 昼夜を問わず、地域のために奔走する駐在所生活を二人三脚で切り盛りするのは妻、康子さん(49)だ。「いつも支えてくれる家族にお礼を言いたい」と感謝の言葉を口にした。

 ■八王子署交通課 東川麻早子(ひがしかわ・まさこ)警部補(58)

 外国人客や在住外国人の増加に伴い、グローバル化への対応を迫られる警視庁。学生時代に磨いた英語を武器に、そのさきがけとなってきた。

 教養課通訳センターに在籍していた平成3年。組織的な大麻密輸事件で、容疑者のガーナ人男性はかたくなに否認を続けていた。通訳として取り調べに同席すると、正確な言葉で翻訳することを心がけた。その結果男性の自供につながり、事件解決に大きく寄与した。

 外国人は犯罪の被害者にもなり得る。しかし警察官のすべてが外国語に堪能なわけではなく、現場で対応に苦慮する事態も増えていた。そこで、自らが中心となって16カ国語への対応マニュアル「外国語110番」を4年に作成。約350ページに及び、他府県警から提供を求める問い合わせが相次いだ。

 警視庁初の女性警察官特別機動隊分隊長として沖縄県に派遣されるなど、女性活躍の先駆者でもある。受章決定の一報に「今後も女性の特性を生かした仕事をしたい」と意気込む。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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