陸からも見られる「イルカの聖地」 地域の価値アップへ実態調査

肉眼でもイルカの群れを見られ、イルカウォッチングでの遭遇率は9割以上の熊本県天草市。イルカの実態に迫る調査を進めている。

 沖合を望めば肉眼でイルカの群れを見られ、船からのイルカウォッチングは遭遇率9割以上。野生のイルカが当たり前のように近くにいる熊本県天草市で、その調査が進められている。背びれの形などから、群れのうち約130頭を見分けることに成功。行動パターンなどもみえてきた。

 調査は、イルカたちの実態を知って教育や観光などに生かそうと、市が昨年から天草漁協に委託して始めた。

 快晴の5月下旬の朝、国道324号沿いから目をこらすと、穏やかな海に白波を立てて泳ぐイルカの背びれが見えた。

 「あそこ、見えますか。先頭があの辺、最後があの辺ですかね。このあたりでいったん休憩しますよ」

 天草漁協のイルカ調査室の高崎ひろみさん(45)が沖合を指し示した。双眼鏡をのぞいて見えた様子や、泳いでいた場所、時刻などを、スマートフォンの調査フォームに記していく。週3回、昨年度は計122回調べた。

移動パターン、口伝えと一致

 天草のイルカはほぼ年間を通じて、有明海の出入り口にあたる「早崎瀬戸」と呼ばれる一帯にくらす。ミナミハンドウイルカという種で、200頭ほどがいるとみられる。

 エサとなる魚が豊富なことや、伝統的な素潜り漁師がイルカを排除せず、長く共存関係にあることが多くのイルカが暮らす背景にあるといわれている。

 この日、イルカの群れは海峡…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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