陸自元隊員の性加害訴訟、国側「極めて深刻」 元隊員4人は争う姿勢

中村英一郎 手代木慶

 陸上自衛隊に在職中、複数の男性隊員から性暴力を受けたとして、元自衛官の五ノ井里奈さん(23)が、元隊員5人=懲戒免職=と国に計750万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、横浜地裁であった。国側は「極めて深刻な事案」とした一方、請求の趣旨などが明らかになっていないとして、答弁を留保した。五ノ井さん側によると、元隊員5人のうち、4人は争う姿勢を示したという。

 五ノ井さんは訴状などで、陸自郡山駐屯地福島県)の部隊に所属していた2020年9月から約1年間、階級が上の元隊員から日常的に性暴力やセクハラを受け、相談窓口への申告などをしたのに十分な調査がなされず、精神的な苦痛を受けたと主張している。

 国側は答弁書で、元隊員らが五ノ井さんに、警備所や整備場などで性的な身体接触をした▽21年6月に飲食中、胸を触ったり、ほおにキスをしたりした▽同8月、40代の元隊員の指示でベッドに押し倒し、覆いかぶさって性的な身体接触をし、うち1人が口止めをした――ことなどは認めた。

 五ノ井さんは弁論後、報道各社の取材に応じ、争う姿勢を示した元隊員らについて「ショックだった。反省してほしい」と強調。「裁判をすることで闘っている姿を見せ、同じように苦しんでいる人に勇気を与えたい」と話した。

 五ノ井さんへの性暴力を巡っては、強制わいせつ罪で在宅起訴された男性隊員3人の初公判が今月29日、福島地裁で開かれる予定。(中村英一郎、手代木慶)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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