雷管備えた「パイプ型爆弾」か 爆発に50秒かかった理由、専門家は

 選挙演説会場で岸田文雄首相の近くに爆発物が投げ込まれた事件で、爆発せずに現場で押収したもう1本の筒の両側に、起爆装置の雷管のようなものが付いていたことが捜査関係者への取材でわかった。2本とも同様の構造だった可能性があるといい、和歌山県警は木村隆二容疑者(24)=威力業務妨害容疑で逮捕=が確実に爆発させようと「パイプ型爆弾」を自作したとみて、殺傷能力の程度などを調べる。

 県警によると、木村容疑者は筒のような物を2本所持していた。1本目を約10メートル先にいた岸田首相の方に投げた直後、警戒中の警察官らに取り押さえられた。その際、手には筒とライターのような物を持っており、県警は2本目に火を付け、投げようとしたとみている。

 県警は2本を押収。17日には、爆発しなかった2本目について爆発物処理班らが特別な処理をした後、内部構造などを調べた。捜査関係者によると、筒は長さ約20センチ。筒の両側に金属製のふたがあり、筒の内部に火薬を入れるパイプ型爆弾に似た形だった。ライターなどで着火させる導火線があり、内部には雷管のような物もあったという。

 県警は、爆発した1本目も同様の構造だったとみているが、筒の両側に付いていたとみられるふたのうち、片方が見つかっていないことも新たにわかった。県警は18日、金属製の破片が広域に飛び散った可能性があるとみて、現場近くの海にダイバーを潜らせ、金属片などを捜索した。

 1本目は、首相の方に投げられてから約50秒後に爆発した。岸田首相は警護をしていた警察官が退避させてけがはなかったが、男性警察官のほか、聴衆の70代男性が軽傷を負ったことが確認されている。

 事件翌日になって、爆発地点から約40メートル離れたいけすにかけられた網の上では、爆発した筒のような物が見つかった。爆発後に約200人の聴衆がいる方に飛んでいったとみられる。現場検証に立ち会った地元関係者によると、演説会場ではナットのような物が数個と、砕けた筒の先端部分とみられる物が見つかったという。

識者「典型的なパイプ爆弾」 爆発に約50秒かかった理由は

 県警は事件後、木村容疑者の…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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