震える処刑役 捕虜の命乞い 95歳元兵士が忘れられぬ満月の夜

 終戦から数年たったある戦友会でのことだ。料亭で酒も入り、昔話に花が咲いた宴会の空気が、一瞬で凍りついた。

 「それにしても、あの晩はひでえことをしたよなぁ。兵隊でもないようなおやじを引っ張ってきてさあ……」

 何げなく口にした吉田靖さん(95)を、戦友がにらみつけた。

 「勘弁してくれ。その話だけはしてくれるな。今でも夜、うなされるんだ」

 10代の少年だったあの日、自分たちがしたことの恐ろしさを、ある者は封じ込め、ある者は思い返していたのだろうか。みな黙っていた。

 1927年、埼玉・飯能近郊…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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