首相へヤジで排除の男性、警察官らを訴え「言論萎縮に」

 札幌市で7月、安倍晋三首相の参院選の街頭演説中にヤジを飛ばした札幌市の男性(31)らを北海道警の警察官が取り押さえて排除した問題で、この男性が3日、現場にいた複数の警察官を札幌地検に刑事告訴した。法的な根拠がないまま、男性の身体をつかんで暴行するといった職権の乱用があったとして、特別公務員職権乱用と特別公務員暴行陵虐の疑いがあると主張している。

 告訴とともに、男性はこれらの違法行為が組織的だったことを問うため、「(憲法で保障された)表現の自由を制限された」として、道警を所管する北海道を相手取り国家賠償法に基づいて慰謝料など330万円を求め、札幌地裁に提訴した。

 告訴状や訴状によると、男性は7月15日午後4時40分ごろ、JR札幌駅前であった安倍首相の演説中、「安倍やめろ」などと肉声で叫んだ。直後に複数の警察官に両腕などをつかまれ、数十メートル離れた演説会場の後方まで連れ出された。これらの行為が法的根拠を欠いた「暴行」「逮捕監禁」にあたり違法だと主張している。

 法的根拠がない理由として、肉声によるヤジは判例からも、公職選挙法が定める選挙の自由妨害違反(演説妨害)に該当しないこと、犯罪が起きそうなとき必要な警告をしたうえで制止することを認める警察官職務執行法でも、演説妨害にあたらない以上、正当化できないことを挙げた。

 告訴と提訴後に会見した男性は「異議を唱える人間を逮捕、拘束できるのはとても危険なこと。言論の萎縮にもなる」と話した。

 この問題をめぐっては安倍首相や政策を批判するヤジを飛ばしたりプラカードを掲げたりした複数人が警察官に取り囲まれ連れ出されたと訴えている。一方、道警は「事実関係の確認中」として詳しい説明をしていない。告訴と提訴後の取材には「訴状が届いていないのでコメントできない」と答えた。(武田啓亮、伊沢健司)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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